だらっと横にしてもいいのに、なぜコクヨはビジネスリュックを「立たせた」のか水曜インタビュー劇場(観察公演)(3/5 ページ)

» 2021年03月31日 08時05分 公開
[土肥義則ITmedia]

カバンの置き場所に困っている

土肥: ふむふむ、確かに。「カバンはロッカーの引き出しのような役割……」と感じてから、どのようにして「立てられるバッグを開発する」ことになったのでしょうか?

伴:  個人ロッカーのような使い方ができるバッグを開発すれば、カバンメーカーではない当社でも勝負できるのではないか。そんなことを考えているうちに、開発を始めました。2019年7月のことですね。そのころ働き方にどんな変化が出ていたのか。シェアオフィスやコワーキングスペースなどが増えていて、そこで働く人が増加していました。

 そうしたところで働いている人たちは、カバンの中に何を入れているのか、どのように使っているのか。よく分からないことがたくさんあったので、大阪にあるコワーキングスペース「WeWork なんばスカイオ」で働く人たちをじっくり観察させていただきました。

土肥: じーと見て、何か新しい発見はありましたか?

伴:  「置き場所に困っている人が多いのではないか」という印象を受けました。机のそばにカバンを置いているのに、その後の動作はバラバラなんですよね。机の上に必要なモノをたくさん並べてグチャグチャになっている人もいたり、何度も必要なモノを取り出したりといった具合に、カバンと机の間の動作がうまくいっていないのではないかと感じました。

 また、カフェで仕事をする人も増えてきましたよね。狭い机の上で作業をすることもあるので、「カバンをロッカーの引き出しのように使うことができれば」と感じている人が多いのではないか。そんな課題を解決するためには、どうすればいいのか。カバンを「立たせる」ことができれば、必要なモノをすぐに取り出すことができて、机の上はモノであふれることもなくなるのではないかと考えました。

商品開発に携わった伴和典さん

 次に、コワーキングスペースを利用している人にアンケートを行いました(19年8月に実施)。カバンの中にはノートPCやスマートフォン以外に、PCケース、書類、ノート・メモ帳、手帳、モバイルバッテリーなどを入れている人が多いんですよね。ということで、必要最小限のモノを持ち運べるような設計を始めました。

土肥: うーん、そこはしっくりこないんですよね。なぜかというと……。

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