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育休判明でローン融資拒否! 高飛車な銀行は、これから滅ぶと思えるワケ働き方の「今」を知る(2/5 ページ)

» 2021年04月07日 05時00分 公開
[新田龍ITmedia]

 確かにその通りだ。仮に勤務先企業に「育休中は無給」という規定があったとしても、実際は「収入がゼロ」になるわけではない。

 現行法では育休中、雇用保険から支給される手当として「育児休業給付金」を受給できる。また女性の場合、産前6週間、産後8週間の休暇を取得できるが、その休暇中に「出産手当金」を受け取れる。そして育休中は、健康保険や厚生年金などの社会保険料の支払いが免除され、雇用保険料もかからない。さらに育児休業給付金は非課税扱いであるため、給付金への所得税もかからない。受給した給付金に加え、これらの差し引かれていた保険料などを考慮することで、育児休業給付金支給額が「手取り額の約8割」に相当する額になる、というわけなのだ。

 ただし、この「育児休業給付金は非課税扱い」というところが、ローン審査では引っ掛かってしまう。確かに給付金としての収入は得られるのだが、非課税扱いのため、「課税ベースでは無収入」という状態が継続していることになる。金融機関の審査は課税ベースの収入であるため、やはり育休中の審査が通らないことになってしまうのだ。

 回避するには今のところ「育休前にローン手続きを済ませる」か、「復職後に審査し直す」しかない。ただし、給与振込やカード決済を行うメインバンクなら、これまでの履歴によってフェアに審査されるかもしれないし、育休中でも申込可能な特例プランを用意した金融機関を選ぶという方法もある。

 とはいえ、終身雇用制が崩壊し、非正規雇用やフリーランスといった働き方を選ぶ人の割合が増えていく中で、従前のような「正社員男性が大黒柱となり、一家の収入を支える」「勤務先の信用=個人の信用」という慣行や法制自体に抜本的な見直しが必要ではないかと考えられる。

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