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育休判明でローン融資拒否! 高飛車な銀行は、これから滅ぶと思えるワケ働き方の「今」を知る(4/5 ページ)

» 2021年04月07日 05時00分 公開
[新田龍ITmedia]

 しかし、それでは金融機関の審査に担当者というヒトが介在している価値もないのではなかろうか。税制に詳しい西村税理士事務所の税理士CFP、西村新一氏はこのように語る。

 「住宅ローンの場合、判断基準となる要素はほぼ『申込者の返済能力』と『購入物件の担保価値』になるわけですが、百歩譲って結果的に審査に通らなかったことは仕方ないにしても、返済能力と担保価値の両方に問題があるのか、あるいは一方の問題なのかなどに関する情報は開示されません」

 「もし問題があったなら、『年収があと○万円多ければ』とか、『物件の立地がもう少し駅に近ければ』といった形で、今後につながる情報開示はして頂きたいものです。家の購入は多くの人にとって人生で一番高い買い物。国民がそういった情報を知る機会を得ることは重要ではないかと考えています」

 例えば日本ほど終身雇用が一般的ではないアメリカの場合、ローンの与信は、申込者個人の「クレジット履歴」と、「クレジットスコア」で判断される。「クレジット履歴」とは、ソーシャル・セキュリティ・ナンバー(社会保障番号)下で管理された個人の支払履歴のことを指す。所有するクレジットカードの利用と支払状況、そして車など既に契約済のローンや借入金に関する状況が細かに記録されている。

 そして「クレジットスコア」はその履歴を基に算出された、個人の信用度を数値化した偏差値のようなものだ。もしカード利用料金や医療費、養育費等の支払いが滞った場合、スコアが下がってしまい、新たなクレジットカードが作れなかったり、ローン審査が通らなかったり、契約時に多額のデポジット(保証金)を要求されたりしてしまうことになる。これらの要素は大企業勤務か否か、育休中かどうかといった個人の「属性」とは無関係なため、日本に比べれば公明正大であるといえよう。

就活生人気も過去のもの

 従前、銀行といえば「経済社会にお金という血液を送り込む心臓のような存在」であり、「ビジネスの資金需要に応える付加価値の高い仕事」と捉えられていたし、銀行員といえば「知的でスマート、誠実で信頼のおける高給な職業」というイメージであった。当然その社会的地位も高く、就活生の就職人気企業ランキングにおいて、一時期はトップ10のほとんどが金融業界の企業で占められていたこともあった。

 しかし、産業は興隆もすれば衰退もする。かつては花形産業の人気高給職であった「キーパンチャー」や「炭鉱夫」といった仕事も、現在は機械に置き換えられたり、職業そのものがなくなってしまったりしているのだ。そして、銀行や銀行員も例外ではない。

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