ビットコインは目の上のたんこぶ、人民銀幹部「暗号資産は投資商品」発言の真意浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(4/5 ページ)

» 2021年04月22日 07時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]

人民銀副総裁、ステーブルコインには強硬姿勢

 そして21年、仮想通貨界隈の熱狂は過去最大レベルに達している。1年前の20年4月に100万円を割る水準だったビットコイン価格は、米仮想通貨交換所コインベースの4月14日のナスダック上場を材料に、一時は700万円を突破した。中国でもコインベース上場、ビットコイン値上がりのニュースは連日報じられている。

 また、美顔カメラアプリで一世を風ぴした「美図(Meitu)」がブロックチェーン進出の準備と資産形成を理由に、3月初めにビットコインとイーサリアムを計4000万ドル(約43億円)で取得し、その後2回に渡って買い増したことも話題になった。

美図の美顔加工アプリの公式サイト(美図秀秀

 空前の仮想通貨ブームで注目されるのは、人民銀の姿勢だ。李副総裁が、博鰲アジアフォーラムで「ビットコインとステーブルコインは暗号資産。暗号資産は投資性商品と見なすことができ、中国を含む多くの国が研究している」と、投資価値や資産価値を認めたと報じられ、政策緩和への期待が高まった。

 だが、李副総裁は「(暗号通貨に対し)現在の強硬な立場(全面禁止)を維持するのか」と聞かれ、「ビットコインとステーブルコインは暗号資産ではあるが通貨ではない。これらの資産の投機が深刻な金融リスクをもたらすことはあってはならず、規制の方向性が固まるまでは現在の方針を維持する」と明言した。

 ステーブルコインについてはさらに踏み込み、「決済に広く使われるなら、現在のビットコインよりもさらに強力な規制が必要だ。民間企業がステーブルコインを決済ツールとして発行するなら、銀行並みの規制が求められる」と釘を刺した。

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