ビットコインが大量の電力を消費することはよく知られている。その量は1260億kWh以上。実にポルトガル2.5国分以上、アルゼンチン1国分に相当する電力だ。一方で、世界は今、脱炭素化、カーボンニュートラルに向けて急速に動いている。
そんな中、仮想通貨(暗号資産)を使った国際送金サービスを提供するリップルは、「暗号資産業界がグリーンな未来を先導することは責務だ」(米リップルコーポレート戦略およびオペレーション担当バイスプレジデントの吉川絵美氏)と話す。
果たして仮想通貨業界は、脱炭素化が可能なのだろうか?
このような状況の中、仮想通貨業界の100%再生可能エネルギー化を目指す、民間主導の「Crypto Climate Accord(暗号資産気候協定)」が4月9日に発足した。
エネルギー業界におけるブロックチェーンの実用化推進のために設立されたコンソーシアム組織であるEnergy Web、エネルギーと資源効率のための有益なイノベーション研究を行うロッキーマウンテン研究所、公正な金融システムを推し進めるNPOのAlliance for Innovative Regulation(AIR)のほか、仮想通貨業界からも運用会社のCoinSharesやブロックチェーンソフトウェア企業のConsenSys、リップルなど20以上の企業と個人が参画している。
その目標は、「世界中のブロックチェーンの100%再生エネルギー化」「二酸化炭素排出量を測定するためのオープンソースの会計基準策定」「ブロックチェーン以外の事業活動と過去の排出量も含む、業界全体の排出量実質ゼロ化」と壮大なものだ。
リップルの吉川氏は「暗号資産業界のパリ協定だ」と評する。
リップル自身は以前から脱炭素化を進めており、ロッキーマウンテン研究所と提携して「Energy Web Zero」という取り組みを開発した。これは、再生可能エネルギー発電者からグリーン電力証書を購入することで、脱炭素化を実現する仕組みだ。これを使い、リップルが活用する仮想通貨XRPは、2020年10月に完全な脱炭素化を実現したという。
一方で、最大の仮想通貨であり、最も多くの電力を消費しているビットコインは、こうした取り組みとは無縁だ。
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