仮想通貨の代表であるビットコインを維持するための消費電力が著しく大きいのは、いくつかの理由がある。一つは取引を承認するアルゴリズムだ。これはPoW(プルーフオブワーク)と呼ばれ、マイナーと呼ばれる事業者たちが、無意味だが解くことが難しい演算を行い、最初に正解を見つけたマイナーに報酬が払われる仕組みだ。この仕組みによって、管理者がいなくても承認ネットワークがセキュアに維持されている。
ビットコイン登場当初は革新的な仕組みだったが、マイナー間の競争が激化するにつれて、演算に費やすコンピューターパワーと電力は膨大なものになっていった。「ビットコインの価格高騰でマイニングの競争が激しくなり、難易度が上昇したため、電力量も増加する負のサイクルに入っている」と、吉川氏は言う。19年に500億kWhだったビットコインの消費電力は、わずか2年で1260億kWhまで増加している。
一方で、時価総額第2位の仮想通貨であるイーサリアムは、PoWからPoS(プルーフオブステーク)という仕組みへの移行を進めている。これは、演算の代わりにコインの保有数に応じて取引を承認する割合を決定するもので、セキュリティを保ちながら消費電力を圧倒的に減らすことを目指している。
リップルが使用するXRPは、PoWもPoSでもなく、信頼される複数の企業によって構成されるバリデータによって取引を承認している。そのため取引1回あたりの電力消費量は、ビットコインが951kWhなのに対し、リップルは0.0079kWhにすぎない。一般的な家庭が使う一カ月の電気量が250kWh程度だということを考えると、ビットコインの消費電力の大きさが分かる。
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