2020年年末から年初にかけて、ビットコイン価格は200万円台から400万円超まで上昇し、過去最高値を付けた。これをけん引したといわれるのが、米国の上場企業や機関投資家による購入だ。その多くが、インフレ対策のために購入したと見られており、短期の値上がり益を狙うのではなく、長期保有が前提と見られる。
では国内の上場企業や機関投資家の仮想通貨に対する動きはどうなのか。国内大手取引所で、唯一大口向けにOTC取引を提供するコインチェックの蓮尾聡社長は次のように話した。
「海外では機関投資家が相当入ってきているので相場を押し上げている。国内においては、法人、機関投資家の動きはあまりない。一部(コインチェックの)OTC取引を使っているお客さまはいるが、極めて少ない。上場企業についてはほぼ持っていないに等しい」
理由は2つある。法制度と、新たな資産クラスとしての仮想通貨に対するスタンスだ。
国内において仮想通貨は資金決済法で定義され、機関投資家が投資対象とできる有価証券とは位置づけられていない。一方で、国際的にはビットコインを組み込んだ投資信託をグレイスケールなどが扱っており、またシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)などが提供する先物も機関投資家の受け皿となっている。
「国内の機関投資家にとっては、法的な枠組みがない。投信のように投資できる対象になっていないのではないか。仮想通貨が有価証券ではないところが大きい。会計上の問題もある。ルールづくりをしないといけない」
さらにカストディの問題もある。カストディとは有価証券の保管管理を行う機関で、国内では信託銀行などが担っている。投資した資産は取引所ではなく、カストディに預けることで安心して保管できるからだ。しかし、仮想通貨のカストディ専門業者がある米国とは違い、国内では信託銀行が仮想通貨のカストディを行えない。
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