2018年1月に起こったコインチェックでの仮想通貨(暗号資産)流出事件。ビットコインが200万円に達するバブルに沸いた17年から一転、仮想通貨への評価は「怖い」「心配」といったものに変わっていった。
そこから2年半。金融庁の指導のもとに、各仮想通貨交換所は信頼回復のための対応を進めてきた。そして、20年5月、業界シェアトップのbitFlyerはついにテレビCMを再開した。6月には乃木坂46の齋藤飛鳥さんをイメージキャラクターに迎え、新たなテレビCMも放映開始。再びアクセルを踏み始めたかに見える。
この2年半、仮想通貨をめぐる状況はどのようなものだったのか。bitFlyerに聞いた。
18年1月の流出事件以降、仮想通貨業界全体への信頼が失われた。当時の状況はどうだったのか。
「17年後半から、すごい勢いで新規のお客さまが増えてきていた。そのタイミングでこれが起きた。新規顧客の対応で疲れているところにこれが来て、どうしようか、と。緊迫していた」
当時からbitFlyerの運営に携わっているトレジャリー部の金光碧部長は、当時をこう振り返った。17年後半は、仮想通貨が一気に普及したタイミングだ。bitFlyerのユーザーも3〜4カ月で倍増。100万人規模のユーザーが新しい資産の取引に殺到した。
「ユーザーの伸び方が急だったので、オペレーションや審査が想定していない規模まで行ってしまった。それが一転、セキュリティは大丈夫か? と」(金光氏)
これを機に、事業の優先順位も変わった。事件の翌日には、自社の取引所でも同じようなことが起こるかもしれないという危機感とともに、社内で「セキュリティファースト」を確認。1月末には「bitFlyerセキュリティー・ファースト主義」というプレスリリースを出し、セキュリティへの取り組みを加速させていった。
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