宿泊業や飲食業、卸売・小売業といったサービス産業は、GDPの約55%を占めている。労働力人口で見ても半数以上の人が従事する巨大市場だが、生産性は非常に低いとされている。
「『この仕事が好きだから、我慢します、頑張ります』という人に、甘えるべきではありません。サービス産業という仕事に付加価値を提供し、多様性のある人たちが入りたいと思えるような環境にしなければ、イノベーションは生まれず、結果、生産性も賃金も上がりにくいままでしょう」と話すのは、ナレッジ・マーチャントワークス(東京都中央区、以下KMW)代表取締役の染谷剛史氏。サービス産業の生産性を上げるために「DX化は必要不可欠」との考えから、シフトワーカーを含む従業員と情報共有、マネジメントができるスマホアプリ「はたLuck」を開発・提供している。
サービス産業の生産性が上がらない要因、そしてその解決策は何なのか? 度重なる緊急事態宣言により苦戦を強いられるサービス産業が生き抜く術を、染谷氏に聞いた。
サービス産業は、労働集約的であると昔から言われていた。「デジタルツールを駆使して効率化を図るよりも、自分の身体を使って業務を遂行する。サービス産業は、そのウェイトが大きい傾向にあります」と染谷氏は話す。誤解を恐れずに言うなら、アナログなやり方を守り続け、努力と根性で国の半分以上の生産量をカバーしている──これが日本におけるサービス産業の実態だ。
しかし、世界的に見て日本の生産性は著しく低い。日本生産性本部(東京都千代田区)の調査によると、日本の時間当たりの労働生産性は47.9ドル(4866円)で、OECD加盟37カ国中21位。サービス産業だけで見ると、日米欧19カ国中15位となっている。時間も体力も使っているのに、生産性が上がらない。その背景には、日本独自のサービス産業体質がある。
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