インターネットを活用して遠隔地から参加・出席できるハイブリッド型バーチャル株主総会が注目を集めている。三菱UFJ信託銀行の調査によると、2020年6月の株主総会では、上場会社のうち、9社がハイブリッド「出席型」(株主総会に会社法上の「出席」をする)、113社がハイブリッド「参加型」(審議などを確認・傍聴する)でそれぞれ実施した。21年度からは完全バーチャル化(バーチャルオンリー型)に向けた法改正も進んでいて、現在開会中の通常国会に提出される見通しだ。
このほど、ソフトウェアの開発・販売を手掛けるアステリアが、完全バーチャル株主総会の法案に関するセミナーを開催した。株主総会の完全オンライン化に向けた法案の概要について、森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士の澤口実氏が解説した。
上場会社がバーチャルオンリーで株主総会を開催できるように法改正が行われようとしている。一定の要件を満たした会社は、定款を変更すれば、今後継続的にバーチャルオンリー型株主総会を開催できるようになる。施行から2年間に限っては、経産大臣と法務大臣の「確認」を条件に、定款を変更しなくてもいい。
定款を変更する場合は、招集の定款規定に「当会社の株主総会は、場所の定めのない株主総会にすることができる」という表現を付け加える。会社によっては、今後の株主総会はバーチャルオンリーにしたいので「場所の定めのない株主総会とする」という表現にしたいと思うかもしれないが、澤口氏によると「恐らくできない」という。産業競争力強化法(産競法)の条文に記されている表現が「できる」となっているためで、「する」という表現にはできない。
また、バーチャルオンリー型株主総会を表す「場所の定めのない株主総会」という言葉は一般人にとっては分かりにくい表現だが、これも産競法の規定の表現なので、使わざるを得ないという。
招集地を定めている会社が定款を変更する際は、リアルで行うときは従来通りで、バーチャルオンリーで開催もできるという表現もできる。より慎重にするならば、「場所の定めのない株主総会とする場合を除いて」従前の招集地で行う、というように定款を変更することが考えられるという。
バーチャルオンリー型株主総会を実施するには要件がある。定款変更に加え、要件具備、行政の確認、取締役会決議の3つが必要だ。
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