オリンパスが人事制度改革を進めている。消費者にはデジタルカメラのメーカーとしてなじみ深い会社だが、内視鏡に代表される医療事業の売り上げが80%を占め、全世界の従業員数約3万5000人、海外の売り上げ比率が80%を超える医療テクノロジー系のグローバル企業だ。消化器内視鏡のシェアは70%を超える。
このようなグローバル企業の人事制度が、どういった考え方に基づいて改革されているのかを取材した。特にグローバル化というあらがいようのない潮流の中で、日本式の雇用慣行がどのような形に変容するのかという部分に注目したい。脱日本型雇用は、成功するのだろうか。
これまでオリンパスは、世界を5つの地域に分け、各地域個別に人事制度を運用してきた。しかし同社ヒューマンリソーシズヘッド(人事・総務担当)/執行役員の大月重人氏は、「世界の医療分野のライバル企業と戦うためには、グローバル一体となった事業推進が必要。人事においても一体的制度を確立する必要がある」と制度改革に着手した背景を明かす。その上で「グローバル化は、ジョブ型にもつながる話」と言い切る。
日本を除く他の地域では、従来よりジョブ型人事制度で運用しており「世界を見渡したら、日本だけがジョブ型ではなかった」(大月氏)という。日本では、これまで日本的な雇用慣行をにらみつつ、成果重視の処遇制度、人材登用・育成という形で、改善に取り組んできたというが、「制度」という意味では、職能資格に基づく従来型の人事が温存されていた。今回の制度改革では、日本もジョブ型への移行を推進している。
ジョブ型人事は、2019年4月から1800人いる管理職に対し先行導入した。一方、一般社員については、22年4月から順次導入し、23年4月までの完全移行を予定している。管理職を先行させた理由について「約8000人の従業員に対し、一気に給与体系を変えるとなると、不安に感ずる人も多い。そもそも、労働組合が簡単に首を縦に振るとは思えないので、まず管理職から先行した」と大月氏は説明する。
確かに変化には、不安がつきものだ。報酬に直結する話なのでそれも当然だろう。ただ、大月氏は「日本の人々は、ジョブ型人事について誤解している部分がある」と力説する。どういう誤解だろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング