以前、「シリコン・サイクルはスーパー・サイクルへ」で、シリコン・サイクルはスーパー・サイクルになりそうだ、という考えを示した。ここでは、その後の状況を確認し、当時からみれば“スーパー・サイクル化した”と考えられる要因を報告する。
シリコンは、パソコンやサーバ、スマートフォン(以下、スマホ)の部品などに使われている。そして、シリコン・サイクルとは、シリコンの販売額がサイクルとなって上下動している様を表す言葉だ。
2017年ごろから半導体の売り上げが勢い良く伸びた時(図、左図の丸囲み)、シリコン・サイクルは過熱しているのか、本当に「スーパー・サイクル」に入るのか、などと議論されていた。この時、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)に関わる分野の成長が続いていたので、「スーパー・サイクル化」すると考えられていた。
統計的に、1998年末から2017年末までの半導体売上高を回帰分析すると、傾きは0.32であったが、21年2月末までデータを3年2カ月間伸ばすと、傾きが0.36に上昇した。つまり、トレンド線の右肩上がりの度合いが高まった、ということになる。単なる上下動であればトレンド線は変わらないはずなので、この変化はサイクルを超える力、つまり成長するイノベーションが起きた、と評価していいだろう。
半導体売上高の成長は、16年ごろから変化し始めている。従来のパソコンやサーバ、携帯電話などに加え、スマホの機能強化、運転支援システム、生産現場のIoT、さらにそれらを支えるAI技術の開発設備、ビッグデータを保管するクラウドサーバ、そして仮想通貨のマイニング用サーバなどが新たに台頭してきたとみられる。
さらに、コロナ禍でのロックダウンや外出自粛に伴う、ゲーム機器販売やネット通販利用の増加、動画のネット配信拡大によるサーバの追加需要なども、スーパー・サイクルを強力にした。このところの供給不足がなければ、もっと押し上げただろう。
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