偏差値70! “いい会社”で働くために、「大卒」の学歴は必要なのか世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)

» 2021年04月29日 08時30分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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大学を卒業していなくても

 米国では大学を卒業していなくても、世界を変えるような大成功を収めている人たちがいる。アップルの共同創業者であるスティーブ・ジョブズは、生前にスピーチでこう語っている。

 「私の両親が一生懸命貯金した金で授業料を払ってもらって大学に行った。だけど学校に6カ月通ってみて、意味がないことに気がついた。人生で何をしようか思いつきもしなかったし、学校がそれを見つける助けをしてくれるとは思わなかった。だから大学は中退した。でもそれで全て何ら問題なかった」

スティーブ・ジョブズも大学を中退した(出典:ゲッティイメージズ)

 マイクロソフトを創業したビル・ゲイツも、フェイスブックを立ち上げたマーク・ザッカーバーグも大学を中退している。アップルの共同創業者であるスティーブ・ウォズニアックも、大手IT企業オラクルのラリー・エリソン共同創業者兼会長も大学中退である。デルのマイケル・デル会長兼CEOも、ウーバー創業者のトラビス・カラニックも、ツイッターの共同創業者兼CEOのジャック・ドーシーも大学を中退した。

 米アパレル企業を率いるラルフ・ローレンも大学を途中で辞め、ヴァージン・グループの創設者のリチャード・ブランソンは高校を卒業していない。CNNの創業者であるテッド・ターナーは、大学を退学処分になっている。

 彼らの中には、いきなりビジネスを立ち上げた人もいれば、一旦企業に入ってからのし上がった人もいる。とにかく、彼らは大卒という学歴がないまま、ビジネスの世界で大成功を収めた。

 こうした人たちの行動を見ていると、「大学に行く価値はない」と思ってしまうのは、筆者だけだろうか。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。


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