認知症による資産凍結を防ぐため、家族信託の組成サポートをする事業を展開するファミトラ(東京都港区)は4月28日、常陽銀行と事業提携し、銀行の顧客には初となる家族信託組成サービスの提供を開始すると発表した。家族信託がより一般に普及する大きな契機となるとしている。
従来、認知症によって本人に意思決定能力がないとみなされると、保有する金融資産は実質的に凍結されてしまう。2021年2月に全国銀行協会は、成年後見制度が使えないケースにも預金の代理出金を可能とする発表を行ったものの、資産の保全観点では慎重な判断が求められるため、現状では極めて限定的な場合のみ認められている。
家族信託とは、判断能力があるうちに財産を家族に託すことにより、判断能力の低下後でも本人の希望や家族のニーズに沿った、柔軟な財産管理や運用を実現することを目的とした仕組みだ。ファミトラは、家族信託を利用し認知症などを原因とした資産凍結を防止することを目的としたサービスになる。
本事業提携により、超高齢社会を見据えた金融ジェロントロジー(高齢社会における金融課題解決の追求)の推進や、今後の地銀各行におけるロールモデルとなることが見込まれるとしている。
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認知症によって本人に意思決定能力がないとみなされると、保有する金融資産が実質的に凍結されてしまう。こうした課題をITを活用して解決しようとしているのが、ファミトラだ。これまで何度も何度も家族会議に同席して契約内容を作り上げるオーダーメイド型の家族信託ではなく、顧客情報をヒアリングし、それを元に契約書のひな形を生成することを目指す。
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