高齢化が進む日本において、認知症の人が増加している。2012年に462万人だった認知症の人は、25年には700万人前後まで増加すると見込まれる。65歳以上の高齢者の実に5人に一人は何らかの問題を抱えている計算だ。
他方、家計金融資産のほとんどはシニア層が保有している。1900兆円といわれる家計金融資産の6割以上を60歳以上の世帯が保有していると推定されており、この比率は増加傾向にある。35年には7割を超えると見られる。
第一生命研究所の試算によると、認知症の人が保有する金融資産額は20年に160兆円、さらに30年には215兆円に達し、個人金融資産の1割以上となる見込みだ。
こんな中、問題となるのは、認知症によって本人に意思決定能力がないとみなされると、保有する金融資産が実質的に凍結されてしまうことだ。認知症による資産凍結を防ぐための仕組みを、ITを使って提供しているファミトラ(東京都港区)の三橋克仁社長は、この状況を次のように話す。
「高齢化が進む中で、認知症によって意思決定能力がないとみなされると、あらゆる契約が行えなくなる。例えば不動産を売却して介護資金に充てようと思っていた矢先に、認知症だと認定されると、不動産を売れなくなってしまう。金融機関も、オレオレ詐欺のような特殊詐欺に会わないようにと、善意で口座の凍結処理をかけてしまう。一度こうなってしまうと家族が出向いてもどうにもならない」
いまや、認知症の人が持つ金融資産にどう対応していくかは、社会的課題になってきているわけだ。
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