コロナ禍で、なぜ「高級スポーツカー」が売れているのか世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)

» 2021年05月13日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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高級スポーツカー、好調のワケ

 なぜ高級スポーツカーの販売が好調なのか。

 海外のさまざまなレポートを読んでいると、理由の一つに、世界的に株価が上昇したことがある。20年に行われた米大統領選によるリスクが後退したことと、新型コロナのワクチン開発に期待が高まったことで、株価は高騰した。そこでもうけた人たちが高級スポーツカーの購入に動いたというわけだ。

 普段なら海外旅行に行ったり、ぜいたくな食事をしたりしていた富裕層にしてみれば、それらができないストレスを高級車購入にぶつけているのではないか。

 またコロナ禍で時間に余裕が生まれ、暇つぶしのためだったり、感染を防ぐために車の中が安全と感じたり。こうした背景もあって、高級車を購入している人が多いようだ。

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 フェラーリの状況を報じたブルームバーグによれば、「いまフェラーリを購入する人はコロナ禍の困難な時期を耐えている自分へのご褒美だと考えていると、フェラーリ社は見ている」という。

高級スポーツカーが売れている背景に

 高級スポーツカーが売れている背景に、中国の存在は欠かせない。早々とコロナ禍を脱した中国では、日常生活が戻っていて、これまで我慢したぶん、消費も盛んになっているようだ。

 残念ながら、東京五輪開催を前にワクチンの供給が遅れ、非常事態宣言が延長されるなど、まだコロナ禍の出口が見えない日本からは、ちょっと遠い世界の話のようにも感じてしまう。……と感じた人が多いかもしれないが、実は日本でも一部のブランドが売れているのだ。ポルシェとジープは昨年、過去最高の販売台数を記録。ポルシェはスポーツカーの「911」などが好調、ジープはSUVの「ラングラー」などが人気を集めているのだ。

 このような話を聞くと、コロナ禍でも出口を抜け出している日本人は、少なくないようだ。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。


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