金融機関のデジタル活用〜デジタル活用のヒントを探る〜
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» 2021年06月01日 16時07分 公開

これからのリスクを考えるKAMIYAMA Report(1/3 ページ)

最初に、「テーパリング(tapering)」の意味がしばしば誤解されているので明確にする。テーパリングとは、「先細り」を意味するtaperから派生した言葉であり、量的緩和そのものが終わるのではなく、スピードダウンすることだ。

[神山直樹,日興アセットマネジメント]
日興アセットマネジメント

 最初に、「テーパリング(tapering)」の意味がしばしば誤解されているので明確にする。テーパリングとは、「先細り」を意味するtaperから派生した言葉であり、量的緩和そのものが終わるのではなく、スピードダウンすることだ。

 米国の例を見ると、2014年年初から資産購入ペースのスピードダウンを半年ほど続けた後、15年に入ってから購入額の水準を維持した。15年12月に利上げを開始したが、保有資産の規模は縮小せず、緩和縮小は大変ゆっくりと進められた。

日米ユーロ圏の中央銀行の資産規模の推移

 今回のテーパリングの開始時期については、雇用の回復を前提として、まずコロナ・ショックで銀行が貸しはがしに走らないよう、CPや社債などクレジット市場へ行った多額の介入を正常化するために、早ければ今年12月ごろ、あるいは22年3月ごろから開始するとみている。

 しかし、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、2%のインフレ率が確実で持続的になるまで緩和を続けるとも言っている。インフレ率については、失業手当の上乗せ、原油パイプラインの不調、コモディティ価格の上昇程度では、簡単には実現しそうにない。

 失業手当の上乗せは早晩なくなるし、ランサムウエアによるパイプライン攻撃からも正常化は進む。銅など景気回復に合わせて価格が上昇する商品もあるが、景気回復でインフレ状態になるためには、人々が一時的にではなく、補助金などで貯めているお金を持続的に使い続け、雇用の回復が進み、企業が賃金を引き上げてでも人を雇う必要が出てきて、そのコストを商品に上乗せしても人々の需要が減らないことが必要だ。このような状況が米国で現れるには、2年程度かかるのではないか。22年中に米国債などのテーパリングが緊急事態脱却を経て本格化(資産総額の安定化)したとしても、その先の政策金利引き上げは難しいとみている。

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