“グレー職場”って何だ!?  社員の声から見る“あるある”風土とは?ブラックじゃないけどつらい(3/4 ページ)

» 2021年06月08日 09時15分 公開
[麻野進ITmedia]

【グレー職場あるある(3)】上司が同調圧力で支配?

 中西さんの話は続きます。「『みんな辛いけど、頑張っているんだ。一緒に頑張ろう!』という同調圧力が強かったです。でも、頑張ったから何か見返りがあったかというと、具体的な恩恵を感じたことはありませんでした。結局、上司は自身の出世のために暗黙の了解というか、不文律というか、そういう圧力で部下をコントロールしていたのだと思います」

 こういう管理職は少なくありません。業務命令だと部下は従わざるを得ない代わりに、上司は結果責任を負います。しかし、同調圧力は具体的な指示をしなくても部下が忖度して動いてくれるので、仮に失敗しても「部下が勝手にやった」という言い逃れが可能となります。「上司の出世のために自分たちは使われている」と部下が思うのも無理のないことです。

 このような上司は企業規模に関係なく存在しますが、大企業・有名企業になるほど、上司の同調圧力に部下が迎合する傾向が強くなります。

 部下からすると、「せっかく有名(優良)企業に入ったのだから何とか踏ん張って出世しよう。落ちこぼれないように頑張るしかない」というマインドになりがちで、「もう辞めたい。辞めよう」という選択肢を持ちにくいものです。それが高じてメンタル不全になることもままあります。上司もそれでやってきて今のポジションにいるので、出世の条件あるいは、この会社で生き残っていくための処世術という考えに至ってしまうようです。

【グレー職場あるある(4)】リモートワークで過重労働化?

 しかし、上司の立場ならではの“グレーな環境もあります。

 コロナ禍以降リモートワークを導入する企業が増えましたが、運用があいまいでサービス残業化しているという話はよく耳にします。

 まず一般社員で見ると、在宅であるが故にかえって非効率かつ無為に時間を過ごしてしまったり、一定のアウトプットを出すためにパソコンの前に座っている時間(労働時間と言えるか?)が長くなってしまったり――。問題はあれど、在宅で処理できる仕事がある程度制限されることもあり、定時かつ、在宅ワークの範囲内で終えることを前提に仕事をしている方は多いようです。

 ですが、管理職はそうはいきません。

 リモートワーク前は、一日の仕事の中で、会議と会議の間や顧客との打ち合わせなどで移動する時間がありました。「忙しい」と言いつつもお茶を飲んで頭を切り替えたり、部下を捕まえて指導・雑談したりといった余裕も生まれます。

 ところが、メーカーの人事部で管理職を務める大島さん(仮名)は、「リモートワークではそういった時間が取れずに、社内だけでなく社外の方とのミーティングが間髪入れず設定可能になりました。これまで1日2回程度だった打ち合わせが5回、6回と時間的に休憩なしでこなす体制になってしまいました」と話します。

photo 会議の移動はなくなった、代わりに時間の余裕がなくなった(画像はイメージ 出所:ゲッティイメージズ)

 働き方改革が進み、社内では18時以降の会議室利用が禁止されている企業でも、リモート会議だと周囲に知られないことがあります。こうして、残業手当のつかない管理職を中心に、過重労働化しているようです。

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