ヒルトン東京お台場(東京都港区)は、そもそも朝食について決して印象の良いホテルではなかった。
昨秋のGoToトラベル期間中に訪問する機会があったが、ロビーに面した「シースケープ」で提供される朝食ブッフェは、外資系デラックスホテルの華やかなイメージとは異なり、サラダ・フルーツ類の豊富さを除けば“ビジネスホテルレベル”といっても過言ではなかった。デラックスホテルといえば、各種卵料理の実演なども常識的だが、そういったレベルでもない。
料理だけではない。例えば、ディスタンスと動線の方向を促すプレートが床へ置かれていたが、ツルツルと滑って勝手な方向に向いてしまっている。ブッフェボードには、だらしないテーブルタップのコードが平然と見えている。スタッフの動きも散漫としておりゲストに接する緊張感もない。
当時、すでに除菌・消毒など新型コロナウイルスの感染対策は確立しつつあり、マスクの着用も常識であった。しかし、スタッフがバラバラのマスクを着用している「絵」は、スタイリッシュな外資系ホテルにあって見苦しささえ感じた。
その後、GoToトラベルも中止となり同ホテルの稼働率は激減。ホテル側は“暇”ということになるが、改善を模索していたようで、ゲストのいない時期だからこそ、外部の意見も取り入れ朝食のブラッシュアップとサービス改革に乗り出していったようだ。
コロナ禍を逆手にとって、改善を進めるこうした動きは他のホテルでも多くみられた。同ホテルでは、問題点を洗い出したところ115項目にも及んだという。現場ではリスト化と、一つ一つの課題をつぶす日々の努力が始まった。もともと能力の高いスタッフばかりである。マネジメント層が方向さえ示せば、高いポテンシャルを発揮する。
そんな朝食改革の話を関係者から聞いたこともあり、4月に同ホテルを再訪してみた。
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