コニカミノルタが自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するサービスを7月に始める。自治体業務の流れを“見える化”し、人工知能(AI)などを活用して作業の効率化を実現する。
「2021年度内に100自治体以上、将来的には1000自治体への導入を目指す」と意欲を見せるのが、デジタルワークプレイス事業本部・自治体DX推進部長の別府幹雄氏だ。常務執行役で同事業本部長兼BIC(ビジネスイノベーションセンター)担当の武井一氏は「メーカーとして100年以上かけて培ったノウハウを活用し、自治体の問題を一緒に解決していく」と意気込む。
コニカミノルタがなぜ自治体DXに参入するのか、その勝算はどこにあると考えているのか。武井常務と別府部長が語った。
自治体が目指す「デジタル行政」実現の背景には「2040年問題」がある。2040年、日本は65歳以上となる高齢者人口がピークを迎え、1.5人の現役世代が1人の高齢世代を支えるようになる。団塊ジュニア世代が高齢者となり、現役世代は急減。15年から40年までの間に、現役世代の人口は約1750万人減少するとみられている。
現役世代が減れば税収も減る。2040年問題によって、1700の自治体のうち半分が、消滅可能性があるといわれている。さらに、「コロナ禍によって2040年問題は2025年に喫緊化するリスクがある」と武井常務は危機感を抱く。
「持続的に医療福祉サービスに対応するためには行政のデジタル化が求められている。現状、コロナ対応に自治体は追われている。自治体の業務を分析し、コア業務とノンコア業務に分けて標準化し、ICT化することが課題だ」(武井氏)
そこで生きてくるのが、コニカミノルタが100年以上かけて培ってきたものづくりのノウハウだ。同社は品質方針として「測定なくしてコントロールなし」を掲げていて、品質向上のためのプロセス改善のノウハウを蓄積してきた。
今までは製品を通して価値を提供してきた一方、今回はそのプロセス改善のノウハウ自体をサービス化し、自治体業務の可視化・分析・施策検討・実施のサイクルを永続的に回し続けるモデル化に取り組んでいくという。
「複合機のような精密機器はすり合わせの技術が非常に多く、常に仮説・検証・モデル化を繰り返して品質を上げてきた。これを自治体のプロセスに展開して、自治体と一緒に取り組んでモデル化していく」(武井氏)
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