コロナ禍によって浮き彫りになったのが、自治体業務の効率の悪さだ。業務が属人化しているので仕事の分担ができない。作業マニュアルがないため引き継ぎが煩雑になる。コロナ対策で保健所支援に人が取られてしまい通常業務が回らない。
ハンコ・紙文化のためテレワークに移行できない。必要な資料の検索に時間がかかる。申請が電子化されても受付後の処理業務は紙のままなのでトラブルが頻発する。こういった問題が明確になっても、普段から業務負荷が高いので改善業務に注力できない――。
山積する問題に対し、コニカミノルタがまず取り組んだのが「ファクトの積み上げ」だ。全国50以上の自治体と連携し、質問項目と粒度をそろえた調査を実施。業務構造と業務量を定量的に可視化した。「質問の粒度をそろえたのは比較をするため。ただ調べるだけでは意味がない。ここに弊社の品質経営のノウハウを使った」と別府部長は説明する。
業務内容を公務員でなければできない「コア業務」と、公務員でなくともできる「ノンコア業務」に分けると、全体のうちノンコア業務は65%にのぼった。加えて、ノンコア業務の80%以上が紙に依存していることが分かった。同社はノンコア業務の担い手を変更し、電子中心のフローに変えていく必要があると判断した。
また、調査で職員が記入した業務内容を自然言語解析し、RPAやAI-OCR(AIを取り入れた光学文字認識)、チャットボットに向いている業務を洗い出して費用対効果を算定した。
さらに、80万件の業務データを収集したところ、法令をもとに行う業務フローは7つにパターン化できることを発見。自治体職員の抱える大量の業務を精査して、業務フローの標準化を支援するとした。「現在、国がシステムの標準化を進めているため、業務の標準化とシステムの標準化をセットで考える必要がある」と別府部長は先を見据える。
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