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コニカミノルタが自治体に仕掛けるDX 武井一常務が語る「1000自治体に導入」への勝算行政のデジタル化に商機(3/3 ページ)

» 2021年06月15日 05時00分 公開
[らいらITmedia]
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1000自治体への導入目指す

 大規模な調査を経て、同社は自治体DX支援プラットフォームを開発した。「ファクトの積み上げ」が可能となる業務量調査ツール「可視化サービス」、課題をもとに業務フローや業務手順書を作成できる「業務分析サービス」、AIやRPAを活用して電子化を推進する「最適化サービス」、他自治体とシステムの共同利用を可能とする「標準化サービス」を提供する。

電子化のポイント
ICT活用のポイント

 また、継続的BPR支援(BPR=現在の業務内容を根本的に見直して再設計すること)として、「DXコックピット)」を用意。全国の自治体と業務フローなどを共有することで、他自治体を参考に業務を見直せる環境を提供する。

 例えば、ある市で受付業務を非公務員が実施していることを知れば、受付を非公務員にやってもらう発想が出てくる。ある市で郵送業務がなければ、自分の市でも郵送の廃止を検討する余地が出てくる。自治体は前例踏襲文化のため、他自治体の前例があれば業務改善に取り組みやすくなる。

 また、ITやAI関連事業を展開するチェンジグループ(東京都港区)と協業し、自治体業務標準化支援AIを共同開発。職員が改善したい業務内容を文章で入力すると、AIが約5000パターンの業務分類・作業分類を参照し、標準業務フローや他自治体の先行取組事例を表示する。今後自治体DX支援プラットフォームは職員の問い合わせをAIが解析して、過去の事例を提案する自治体専用ビジネスチャットとも連携する予定だ。

 自治体DX支援プラットフォームの利用料は、月額制のサブスクリプションで「正規職員の残業代30分程度」(別府部長)を想定。予算割の厳しい自治体でも負担感なく導入できる数千円台から提供する。

 将来的には全国の自治体に加え、地方銀行や公立学校の業務改善にも同様のソリューションを導入し、新たな収益源として育てていく。「インプットとアウトプットが決まっているが、その業務のやり方が違うところにフォーカスしている」と武井常務は導入先の方針を示す。

 コロナ禍によるオフィスの縮小やペーパーレス化に伴い、複合機市場は縮小傾向にある。自治体DXに商機を見いだしたコニカミノルタの今後の動向に注目が集まる。

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