“暗号スマホ”とはどんなモノか 「FBIのビジネス流儀」はとことん世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)

» 2021年06月17日 08時13分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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次はどうなる?

 結局、この大捕物(おおとりもの)では、冒頭で触れたように、かなりの数の犯罪者を摘発することに成功している。ちなみに、FBIが公表しているANOM利用者がいる国を示す世界地図によれば、21年5月の時点で、日本にも利用者がいたことが分かる(参照リンク)。もしかしたら「トロイの盾」作戦によって、さらなる逮捕者が出てくるのかもしれない。

ANOM利用者は日本にもいた(出典:FBI)

 さすがに、ここまで報じられているので、犯罪者らはANOMを使用していないだろうが、いずれにしても、また同じような暗号スマホがどこかで作られ、使われることになるだろう。要は、いたちごっこである。

 犯罪者たちが地下で使っている暗号通信の実態を暴露した今回の事件。次はどんなコミュニケーションツールが登場するのか、見ものである。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。


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