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» 2021年06月18日 07時00分 公開

米国株より高騰する木材 「ウッドショック」は一過性か?古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/2 ページ)

[古田拓也,ITmedia]
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ウッドショックの影響は一時的、反動減に警戒

 ただし、足元の価格増加をもって木材生産事業に新規参入を行う動きには“待った”がかかる。なぜなら材木は工業生産品と異なり、急激なニーズ増加に応えることが難しいからだ。材木としてポピュラーなスギやヒノキが伐採できるまでの標準的な期間は、一般的に30年から40年。コロナ禍中の一時的な需要増に対して急激な増産には対応しにくい。

 確かに、ここ数十年間、日本の林業の衰退と材木価格の下落がアダとなり、伐採することが可能な状態で放置された「間伐遅れ」と呼ばれる山林が増えた。しかしこれは林業における慢性的な人手不足によるものであるため、やはり柔軟に需要増に対応できる業界構造ではない。

「間伐遅れ」。適切に間伐が行われずに放置されると、林内が暗く、下層植生が消失し、表土の流出が著しくなってしまう(林野庁Webより)

 価格上昇のあおりを最も受けている住宅メーカーの中には、価格競争優位性のために、ここ一年における木造原価の上昇をそのまま価格に転嫁せず、「耐えてやり過ごす」方針をとっているところも多い。

 こうした動きを勘案すれば、材木の価格が長期的に今の水準で据え置かれるとは考えにくい。そもそも、ウッドショックの主要因である木造住宅需要の高まりは、需要の先食いという側面もあり、コロナ後は“反動減”に苦しむ恐れもあるからだ。

 米国では生涯で何度か家を買い替える習慣があるというが、そのタイミングが低金利のコロナ禍中に集中したのであれば、アフターコロナでは金利水準の見直しなども相まって今の家に住み続ける人の割合が高まり、新規で家を購入する動きが主流になるとは考えづらい。

 材木先物における投機的な動きもやや落ち着き、国内における林業・材木メーカーへの投資加熱も落ち着いてきた。例えば焦って新築で木造住宅を発注するような動きは、いったんは慎重に様子をみた方が賢明かもしれない。

 なお、足元では国が「スマート林業」を推進しており、ドローンやICTを活用した生産性と安全性の向上に取り組んでいる。長年斜陽産業といわれ続けてきた我が国の林業だが、先端技術の活用と、サステナビリティ社会という足元のテーマにうまく化学反応が起きれば、森林大国日本の林業が陽の目をみる日も近いのかもしれない。

筆者プロフィール:古田拓也 オコスモ代表/1級FP技能士

中央大学法学部卒業後、Finatextに入社し、グループ証券会社スマートプラスの設立やアプリケーションの企画開発を行った。現在はFinatextのサービスディレクターとして勤務し、法人向けのサービス企画を行う傍ら、オコスモの代表としてメディア記事の執筆・監修を手掛けている。

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