この仕組みを使って資金を調達する第1号となるのは、福岡の高級ホテル「アゴーラ福岡山の上ホテル&スパ」だ。投資家に対し、最大4割引となる宿泊割引券などを提供し、プロモーションを行う。
「地元や全国での知名度向上が目的だ。現在は、マーケティング活動をしても思うように届かないのが実情。投資いただいて、分配および優待を提供することでファンになってもらえることを目指す」(同ホテルの副島和昌社長)
クラウドファンディングを用いるのは資金需要のためではなくマーケティング施策だ。「目的はファン作りであり、マーケティング活動が主。借りたお金で、さらにホテルの価値を上げることも検討中」(副島氏)という。
Fundsの藤田雄一郎社長は、「人はお金を出すとその企業を応援したくなる。貸し付けをきっかけにファンを作っていく仕組みを提供する」と、取り組みの意図を説明する。具体的なプロモーション効果については言及しなかったが、「数千人、数万人の個人に知ってもらえる機会を提供できる」(藤田氏)とした。
福岡銀行側の狙いは、地元企業の支援だ。地銀は地元企業の支援が存在意義であり、「資金繰り支援だけでなく、本業支援ができる。貢献できる」(山本氏)ことが目的となる。
投資家は、信用リスクが極めて低い地銀への貸し出しで、年率1%の利息と、ホテルの優待券などを受け取れる。今回のクラウドファンディングは、4000万円分を6月23日から抽選で、1000万円分を7月9日から先着順で受け付ける。融資期間は11カ月間で、途中解約はできないが期間的にも長くはないことから、人気となることが想定される。
以前から、寄付型、購入型なども含め、クラウドファンディングはその事業を応援したいという投資家の思いを受け止める形の取り組みが多かった。Fundsの今回の新しい仕組みは、間に地銀を経由することで、投資家のリスクを最小限に抑え、企業側のファンを作りたいというニーズも満たせる。まさに融資という形を借りたプロモーションだ。
Fundsは、今回の取り組みに続いて次回以降のファンドについても福岡銀行と検討を進めるとしている。
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