ESG投資、知っている人は約14% コロナ禍でサステナブルな意識は高まる

» 2021年06月23日 09時38分 公開
[季原ゆうITmedia]

 資産運用会社のフィデリティ投信(東京都港区)は、従来の財務情報だけでなく、環境、社会、ガバナンス要素も考慮した「ESG投資」に関する意識調査を実施した。その結果、コロナの影響で48%の人が「地球規模の問題についてより深く考えるようになった」と回答した。一方で、ESG投資について知っている人は全体の約14%と、一般的にはまだ浸透していないことが分かった。

ESG投資の知名度はまだ低い(フィデリティ調査)

 新型コロナウイルスによる影響に関する調査では、約半数(47%)が世界的な問題について考える機会が増えたと回答し、36%の人が今後より良い世界を築くために貢献したいと思うと回答した。また、38%の人がより積極的な変化を起こしたい、35%の人がサステナブルに投資や貯蓄をしたいと考えていることが分かった。

 コロナをきっかけに「ポジティブな変化を起こしたい」と考える人たちに、そのための最善の方法について尋ねたところ「食品や水の廃棄物を減らす」「地元で買い物をする」「プラスチックの使用量の削減」などが挙がった。また自分の価値観を反映していない企業にはお金を投じないと考えている人が、男性で28%、女性で22%いることが分かった。

 投資や貯蓄をサステナブルなものにするために実践している、実践しようとしていることについて尋ねたところ、全体の約半数(47%)が「自分の財務状況を見直す」と回答した。ほかに、「自分がどこでお金を使っているか、誰と買い物をするかの見直し」「ESG投資ができる方法をリサーチする」などが挙がった。

個人でできるサステナブルな取り組み(フィデリティ調査)

 また男女別の傾向では男性の方がサステナブルな投資または貯蓄を計画している人がわずかに多く(男性46%、女性44%)、そのため措置を講じているのは女性の方がわずかに多いことが分かった(男性24%、女性26%)。

まだまだ低いESG投資への関心

 ESG投資について聞いた事があるかの質問では、「ある」と答えた人の割合は男性31%、女性21%であり、「知っている」と答えたのは男性17%、女性10%と、認知度が低い傾向にあることがうかがえる。また、ESGを推進するための投資を「意識している」と答えた人は男性30%、女性19%と女性の方が男性に比べ低い結果となった。一般的にESG投資が指しているのは「天然資源の持続可能な利用」や「気候変動の阻止」だと考えられていることも分かった。

 持続可能な投資を始める方法を知っているかの質問では、男性に比べ女性が少ない結果となった(男性35%、女性24%)。また、ESGファンドへの投資という選択肢があることを「知っている」と答えた人も男性22%に対し、女性は14%と少ない結果となった。

 投資をしている人に対し、ESG投資でリターンを得ることが可能かどうか聞いたところ21%が「可能」と回答。「不可能」と答えた人も15%おり、意見が分かれる結果となった。一方で3分の1以上(37%)が資金を動かすことで企業の行動を変えることができると考えている。また、24%の人がESGを重視しない企業は社会的に受け入れられなくなり衰退していくと考えていることが分かった。

 調査は18歳以上の男女約2000人を対象に1月7日〜13日にインターネット上で実施した。

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