菅義偉政権の肝いりで、9月に設置予定のデジタル庁。そのトップとしてデジタル大臣に就任予定の平井卓也デジタル改革相をめぐり、騒動が起きている。
ことの発端は6月11日の朝日新聞の報道だ。4月に実施された内閣官房IT総合戦略室の会議で、東京オリンピックのために政府が開発したアプリ(オリパラアプリ)について、平井大臣が同室幹部らに請負先のNECは「脅しておいたほうがよい」「徹底的に干す」などと発言していたと報じ、その録音音声まで公開した(参照リンク)。
すると週刊文春が後を追う形で、「平井氏が同じ会議の場で、デジタル庁が発注予定の事業に、自身と近い関係にあるベンチャー企業を参加させるよう求める発言をしていたことが、『週刊文春』が入手した音声データでわかった」と報じた(参照リンク)。
これに対して、平井大臣は文春の記事に抗議し、「一般の読者に対して意図的に誤解を与えようとするもの」として、自身が持っているオリジナル音源の一部を会見で公開した。
今回の騒動で、平井大臣が「恫喝」のような発言をしたことは音声から間違いないだろうし、文春が「親密企業の参入を指示 平井卓也デジタル相に官製談合防止法違反の疑い」と書くように、違法行為の可能性もあるのかもしれない。
ただそれよりも筆者が気になったのは、誰がこの音声を録音していたのか、だ。
会議とはいえ、会社で誰かが密かに会話を録音するなんて、ひと昔前の感覚ならあり得ない。ところが最近、企業内などで「盗聴」が行われている実態を、耳にする機会が増えた。
企業など組織内での「録音」行為が当たり前になれば、従業員や上司などは発言に、細心の注意を払わなければいけなくなる。いつ揚げ足を取られ、糾弾されるか分からないからだ。「同じ釜の飯を食う」人の集まりが、油断ならない環境になっているということだ。
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