社内で「こっそり録音」はアリかナシか 平井大臣の“恫喝”騒動世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)

» 2021年06月24日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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どこの壁にも耳がある

 今回の平井大臣のようなケース以外でも、録音データを公開されてしまった事例はいくつかある。テレビ東京の女性アナウンサーのプライベートな会話がネットに暴露された一件では、アナウンサー2人がスタッフや同僚の陰口を叩いていたとして大きな話題になった(20年9月、週刊文春)。内部で何者かが盗聴した音声のようだが、真相は分からない。

スマホでも手軽に録音できる(提供:ゲッティイメージズ)

 米国でも俳優のトム・クルーズが映画『ミッション:インポッシブル』の撮影中、コロナ禍での撮影ということで、スタッフにソーシャルディスタンスを守っていないと怒鳴りつける音声が暴露されている。

 またつい先日も、タレントの熊田曜子さんの離婚騒動で、家庭内での録音がネット上で公開された。まず女性セブンで元夫のDVの様子を録音したとされる音声が公開されると、その疑惑に反論する形で、熊田さんの不倫について電話のやりとりを録音したデータをデイリー新潮が公開するに至った。離婚騒動は暴露合戦の様相で泥沼状態だが、ここでも音声がなければここまでの騒動になっていなかったかもしれない。ただどちらも、周到にやりとりなどを録音をしていた事実には驚かされた。

 もはや、職場のみならず、自宅にいてもボイスレコーダーで録音される時代である。気楽に録音できるスマホも、私たちの身近にあるのが当たり前になっているため、録音しているのもバレにくい。

 誰がどこで録音しているのか分からない世の中だけに、常にそれを意識した言動が求められるようになっている。“どこの壁にも耳がある”ことを、すべてのビジネスパーソンが意識しておくべきだろう。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。


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