社内で「こっそり録音」はアリかナシか 平井大臣の“恫喝”騒動世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)

» 2021年06月24日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

常にボイスレコーダー

 今回、朝日新聞と文春が入手した音声ファイルや、平井大臣自身が持っているオリジナルの音源があるとすると、少なくとも何人かが会議の会話を録音していたことになる。公開されているものを聞く限り、朝日と文春の音声は同一の音源ではないようにも感じる。

 ただ、国民の代わりに仕事をしている国会議員であれば、公的な記録を残す意味でも録音が行われている事実は理解できなくもない。

 もちろん、そんな大臣の密室での会話がメディア2社に漏れること事態、政府の危機管理としていかがなものかといった意見もある。まったくその通りだ。ただそれについては、別の機会に考察したいと思う。

 録音という行為が今回のような公務などではなく、民間企業で行われるとなると、印象は大きく変わる。実はつい先日、ある東京23区内の教育機関施設の職員から、興味深い話を聞いた。

 その施設では、職員やスタッフらの多くが常にボイスレコーダーを持っているというのである。その理由は、数年前に上司のパワハラ疑惑が内部で取り沙汰されたことがあったからだ。特に、管理職ではないスタッフの多くは、ボイスレコーダーを常に持っており、いつでも録音できる状態にしているという。幹部でも、自分の部屋に音を自動で録音するボイスレコーダーを設置している人もいるらしい。かなりギスギスした職場である。

 社内でトラブルが起きたり、理不尽な思いをしたり。そうしたことが起きたことを証明できるように、普段から会話を録音する。主な目的は保身のためだが、録音があちこちで当たり前に行われているとすれば、職場の環境は何年か前と比べても、大きく変化していると言わざるを得ない。

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