逆に、アフターコロナ後に存続が見えないコワーキングオフィスにも傾向がある。
1つは、カラオケボックスなど本業があるハイブリッドタイプだ。これはコロナ禍の需要減退による業態転換という位置付けの企業が多いため、元の需要が戻れば、本業に戻していくだろう。
もう1つが、自社不動産ではないタイプだ。
不動産会社などもともとビルや土地を持っている企業と違って、場所を借りて施設を運営している場合、ランニングコストもかかる。「平均すると、利用料は月額1万円前後。施設にもよるが、コストを考えると、利用者が半年から1年は契約してくれないと採算が合わないので、定着してもらう必要がある」(吉井氏)というビジネスモデルだ。そのうえ、中小事業者も多いため、大手企業に対して設備で差別化することは難しい。
立地も悪い、場所も賃貸となると、差別化要因は場の作り方になってくる。それには、2パターンがある。コミュニティーに思い切り手をかけるか、無人予約・無人利用というようにすべて自動化するかのいずれかだ。
自分が会員になったコワーキングオフィスの運営が立ち行かなくなるのは嫌なものだろう。これから会員になる場合、SNSの活発さをチェックするとよさそうだ。
「非公開コミュニティーとしてSlackなどSNSを用意しているところもある。オンライン上で知り合った人たちではなく、リアルに人がいる場所で、チャットで話しかけられるので安心感がある。最近の子どもたちは、友だちになりたい人を見つければ、SNSで確認してから話しかける。こうした文化が大人の世界にも広がってきているのではないか」(吉井氏)
オンラインとオフラインのハイブリッドなコミュニティーとして、コワーキングオフィスの存在意義が生まれているのかもしれない。
経済誌記者、ベンチャー企業の上場準備室を経てフリーランスに。現在はビジネスメディアを中心に産業・企業に関する記事を執筆する一方で、フリーランスの活躍を後押しする活動に従事している。
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