コワーキングサービスが無限増殖中 勝者になる条件は?相馬留美の「今そこにある商機」(3/4 ページ)

» 2021年06月30日 08時00分 公開
[相馬留美ITmedia]

都心より住宅地やベッドタウンが盛況

 このように、コワーキングスペースは事業規模の大小入り乱れての競争となっている。「コワーキングスペース戦国時代」において、勝者となる条件は何か。

 都市部では何より立地が重要になる。

 立地と言っても、都心に近いほうがいいとは限らない。自宅では家族と同居しているため仕事がしにくく、出社制限がある企業に勤める人のニーズが高く、「都内でも杉並であったり、ベッドタウンの埼玉・大宮であったり、生活エリアにあるコワーキングスペースの会員数が伸びている」(斉藤氏)のだという。

 一方、地方はやや様相が異なる。地元の人が中心になって、「地域拠点」化したコワーキングオフィスが支持されているのだという。

 前述の通り、地元コミュニティーを作ることが目的となっているケースが多いため、小粒の事業者が多い。そうなると、大資本の設備・サービスにはかなわない。そのため、いかにコミュニティーを作ることができるかが勝負の分かれ目になるわけだ。

 斉藤氏は例として、福岡県うきは市にある「FLATFORM UKIHA」を挙げる。古民家を改修したシェアオフィスだが、そこでは「75歳以上のばあちゃんたちの働く会社」をうたう「うきはの宝」という地元企業が、カフェスペースで「ばあちゃん食堂」を営んでいる。それがフックとなり年配の人が来て、さらにそれ以外の人も集まってくる仕組みが生まれている。「立地が多少悪くても、集まる要素があればよいコミュニティーになる」(斉藤氏)

福岡県うきは市にある「ばあちゃん食堂」

 また、コミュニティーの形としては、起業家などが集まるインキュベーション型施設もある。その場合、起業コンサルタントのような事業支援ができる人をその場に置いておけるかで差がつく。そういった人材を常駐させるにはカネがかかるので、行政や自治体のサポートを受けることでビジネスが成り立つ構図になっている。

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