借りられるかが事前に分かる 銀行ローンの横断マッチング、クラウドローンが事前審査サービス開始(2/2 ページ)

» 2021年07月01日 10時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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事前審査でほぼ100%確実な融資

 一方で、課題もあった。オファーを受けた銀行に融資を申し込んでみたところ、本審査で落ちてしまう場合があったのだ。「半数以上はオファーがあっても、申し込んでみたら落ちてしまっていた」と村田大輔社長は話す。

 これを解決するため、今回事前審査を行う新サービスを追加する。住所氏名や連絡先、生年月日、勤務先などの情報を登録することで、銀行に出す前にオリコが審査を行う。翌日までには審査が完了し、情報が銀行に流れ各銀行のローンが提案される。

オリコと提携し事前審査を提供。匿名性は失われるが、本審査で落ちることがなくなる

 このローンはオリコが保証を付ける形になるため、その後の本審査で落ちることは基本的にない。また、カードローンなど金利に幅があるローンでも、事前に金利水準も分かることが特徴だ。

 「借りられる状態が事前に分かる。これまでのサービスでは、せっかく提案が届いたのに結局使えなかったということもあった。匿名情報だけでオファーをかけるので、本審査に進んだときに落ちることを回避できなかった」と村田氏は利用者のメリットを説明する。銀行側もせっかく申し込みがあったのに、審査したら融資できなかったというロスを減らせる。

 オリコ側から見ると、クラウドローンを経由することで、これまでアプローチできていなかった銀行に、保証会社として入り込めるメリットがある形だ。

 事前審査のサービスは8月から提供を始め、従来の匿名のサービスも並行して提供する。「事前審査を徐々に増やしていって、メインを保証会社経由にしていきたい」(村田氏)という考えだ。

大手中古車サイトなどへのOEM提供も

 ユーザーと銀行の間に入り、金融機関ごとに情報を入力することなく、一度入力した情報を複数の金融機関に展開するマッチングプラットフォームは、住宅ローンでは複数のフィンテック企業が参入しているが、個人向け無担保ローンではクラウドローンがほぼ唯一のプレイヤーだ。無担保ローンは年間新規貸出額が21兆円規模ともいわれ、住宅ローンに匹敵する市場規模となっている。

 自動車ローン以外にも教育ローンや住宅リフォームローンなども手掛けており、今後は利用チャネルの拡大に力を入れる。例えば、大手中古車サイト運営会社との提携などだ。「中古車のオンライン商談中に、ユーザーにクラウドローンの提案を行える仕組みを構築していく」(村田氏)

 さらに、工務店がリフォーム提案を行う際に併せてローンを紹介したり、歯科矯正やインプラント、美容整形などの高額な医療分野、また英会話スクールや資格の学校などにもシステムをOEMとして展開していく考えだ。導入する店舗側は、複数の銀行のローンを顧客に提案でき、販売機会を逃すことがない。

 こうした取り組みで、現在1500人程度の新規月間登録者数を、年内には2〜3倍に伸ばすことを目指す。7月1日、Genesia VenturesとLaunchPadFundから総額1億5600億円の資金調達も実施したことを発表しており、認知拡大などのマーケティングにも利用する予定だ。

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