セブン&アイ、スピードウェイ買収は「千載一遇のチャンス」 強気の井阪社長、背景に“米国特有のコンビニ事情”大幅増収の予想(2/2 ページ)

» 2021年07月03日 09時00分 公開
[熊谷紗希ITmedia]
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日本は「大手の寡占市場」、米国は「細分化された市場」

 日本国内には約5万6000店のコンビニがあるが、大手3社が約90%のシェアを占めている状態だ。一方、北米では大手トップ10のシェアは全体の約20%にとどまる。10店舗以下のスモールチェーンが全体の約65%を占めている計算だ。また、全体の80%以上がガソリンスタンド併設型のコンビニだという。

 寡占状態の日本市場に対し、細分化された北米コンビニ市場では、スピードウェイ取得により、さらなる成長が期待できるという考えだ。

米国3位のスピードウェイを買収することで店舗数拡大を狙う 

 これまでもセブン&アイHDは、北米市場でM&Aを繰り返して店舗数を拡大、統合ノウハウの蓄積により成長してきた。20年度の連結決算では、営業利益の28.6%、純利益では34.0%を米国事業が占めるほどで、グループ全体への貢献度も大きい。06年にはM&Aで、3381店舗を取得しており、20年度末時点の合計9884店舗のうちM&Aによる取得店舗は2割を超えている。

 井阪社長は、スピードウェイの買収によって「3年目(23年5月〜24年4月)の想定シナジーは5億2500万〜6億2500万ドルを見込んでいる」という。20年8月時点では4億7500万〜5億7500万ドルの想定だったが、大幅な上方修正を加えた。

 「最も大きなシナジーを期待しているのは商品開発だ」(井阪社長)。米セブン-イレブンの商品やプライベートブランド商品をスピードウェイの店舗にも導入し、品ぞろえを改善していく。そのほか、商品調達や物流改善を通して売り上げ・粗利の増加を狙う。

 また、デジタル戦略統合として、米セブン-イレブンが実施しているネットコンビニ・配達事業「7NOW」をスピードウェイ店舗で行うことに加え、スピードウェイのロイヤリティ(会員)カードをセブンのDXポイントに移行し、効率化を進める。

想定シナジーに大幅な上方修正が加わった

 同日にセブン&アイHDが発表した新中期計画(21〜25年度)でも、スピードウェイを含む海外コンビニ事業は「グループ成長のドライバー」と位置付けられている。スピードウェイ取得は、セブン&アイHDの成長を加速させる起爆剤となるのだろうか。

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