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» 2021年07月07日 08時00分 公開

今どきそんな評価では社員はどんどん辞めていく! 間違いだらけの人事改革(1/3 ページ)

リモートワークの浸透による働き方の変化に伴い、「社員の適切な評価が困難、納得感が得られない」「生産性を上げるために、ジョブ型評価制度に移行する必要性があった」など、人事評価制度の課題は山積み。新しい評価制度を稼働させた結果、想定外のトラブルにつながったという会社の“失敗談”から、経営層が持つべき「人事評価制度の正解」を探る。

[山元浩二,ITmedia]

社員がついてくる「理念」「ビジョン」を持て!

 私は、中小企業を中心に、人事評価制度の構築、運用を2001年から支援しています。現在は、この20年間の中でも最も人事評価制度に対する関心が高まっている時期だと実感しています。

 リモートワークの浸透による働き方の変化に伴い、「社員の適切な評価が困難、納得感が得られない」「生産性を上げるために、ジョブ型評価制度に移行する必要性があった」「働き方改革の推進に向けた見直しが必要だった」――背景にはこうした課題があります。

photo 時代に合わせた人事改革は、頭を抱えることも多い(画像はイメージ 出所:ゲッティイメージズ)

 このような会社の中から、新しい評価制度を稼働させた結果、想定外のトラブルにつながったというケースが多発しています。具体的には、「会社の業績へ大きく貢献していた優秀な人材が辞めてしまった」「新しい評価制度で評価し、賞与を支給した結果、不満が増大した」「期待していた若手社員数名から辞めたいと申し出があった」などが挙げられます。

 では、社員が辞めない、つまり社員がついていきたくなるのはどのような会社なのかというと、トップをはじめ経営層が何を考え、目指しているか――それが社員にも理解でき、組織の何年後かの姿や、そこで働く自分の将来の姿がイメージできる会社です。つまり「理念」や「ビジョン」が明確で、それを社員と共有できていることが大切になります。そのために必要となるのが、理念やビジョンに基づいた、人事評価制度なのです。

社員が離れていく人事評価制度 3つのパターンとは?

 では、トラブルのあった企業が導入した人事評価制度とは、一体どのようなものだったのでしょうか。検証してみると、失敗する人事評価制度は3つのパターンに分類されることが分かりました。

<失敗1>「効率化=評価の簡略化」でモチベーションを下げる

 まず1つ目は、クラウド・システム系の仕組みを導入するパターンです。

 このパターンの人事評価制度システムを提供する会社は、5年前あたりから増え続けています。ITを中心としたマーケティングが得意な会社が多いので、みなさんが普段、WebサイトやSNS上で広告を目にしている企業も含まれているかもしれません。

 クラウド・システムを通じた人事評価制度が掲げる目的は、「人事評価制度の効率化、簡素化」です。もう少し詳しく説明すると、今までは非常に煩雑で人的リソースがかかり、面倒だった評価の集約、またその分析や履歴の管理、被評価者・評価者向けの資料の準備、賃金算出のプロセスなどを、一元化・システム化する。これによって、社長や人事担当者は生産性を上げることができる、というのが一番の売りで、目的とするところといえます。

 しかし、この目的を、評価される社員側に伝えるとどうでしょう? 「あなたの評価や賃金を決めるためのプロセスを、今までよりシンプルかつ効率化するために人事評価制度改革を推進します」と会社から告げられて、モチベーションが上がる人がいるかということです。私が社員の立場だったら、モチベーションは下がります。

 また、クラウド・システムを通じた人事評価制度を提供する企業は、IT・システム会社です。つまり、組織の制度改革を専門とするコンサルティング会社とはまったく業種が違うのです。IT・システム会社なので、組織の活性化や業績を向上させることを得意とするコンサルタントは存在しないのが一般的です。

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