アマゾン創業者退任、どんな影響が? 国内外の「退任劇」を振り返る古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/3 ページ)

» 2021年07月09日 07時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

 米国のIT大手、アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾス氏が6日、CEOを退任し取締役会長となった。後継には、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)を率いるアンディ・ジャシー氏が就任している。これにより米国5大IT企業「GAFAM」で、創業者自らがCEOとして指揮を取るのはフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏のみになった。

 企業の顔ともいえる創業者がCEOや会長の座を降りた時、市場にはどのような影響があるのだろうか。国内外の事例を確認していきたい。

アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾス氏

創業者の退任で大幅安となったgumi

 モバイルゲームやベンチャー投資などを手がけるgumiは、創業者である國光宏尚氏が6月11日に退任を発表し、市場では失望ムードが漂った。実際に退任するのは7月28日だが、株価は発表の翌営業日である14日に14.7%下落した。

 gumiは18年4月期から今期まで一貫して売上高を減少させてきており、新規事業であるクラウドファンディングサービスも不調な中の退任劇が、投資家の不安を増幅させた可能性がある。國光氏はgumi上場前の13年に、「時価総額8兆円は見えた!」というツイートをした件で話題となったが、直近の時価総額は237億円と、“道半ば”での退任劇となった。

 創業者と取締役陣の「お家騒動」で話題となったクックパッドも、16年3月に創業者である佐野陽光氏が海外事業の執行役から解任されると、前日比で7%以上も急落した。当時は急落後でも2000円前後の株価を維持していたが、それ以降はずるずると株価を下げ、今では245円と底値を這っている状況である。

 海外の事例では、EVを手がける米ニコラ社の創業者退任が大きな株価下落をもたらした。同社を創業したトレバー・ミルトン氏は20年の9月20日に自ら辞任を申し出たが、これにより株価は30%急落した。発表前は34ドル近辺で推移していたニコラ社の株価は19ドルまで一気に値を下げ、今ではそれをさらに下回る15ドル程度で推移している。

 EV事業は「これから」というタイミングであり、事業として成熟する前の段階での退任は例えるならば「離陸した飛行機から機長だけがパラシュートで脱出したようなもの」で、取り残された乗客、つまりここでいえば投資家はパニックになって当然だろう。

 会社としての成長が道半ばであったり、内部のゴタゴタなどによって創業者が一線を退かざるを得なかったりするケースでは、概ね市場はネガティブな反応を示すようだ。

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