実際に、パワーのある創業者が一線を引くと業績の成長が鈍るケースがある。そのような状況に置かれた場合、一度は会長職などに退いた創業者が再びCEOとして陣頭指揮を執るケースもあり、これはポジティブに受け止められる場合が多い。
衣服事業を展開するアダストリアでは、創業者の福田三千男氏が会長職に退いて以降、収益力が低下していた。同社はこれまで10年2月期の営業利益169億円がピークであったが、復帰直前の18年2月期の営業利益は、前年比64.2%減の54億円まで低下していた。
当時、市場は福田氏の出戻りを歓迎し、発表だけで8%株価は上昇した。そして実際はそれ以上に業績が急回復。19年、20年2月期の売上高はいずれも大幅な2桁成長となり、コロナ前の20年2月期には、ピークに近い128億円まで営業利益を回復させた。21年2月期の業績はコロナ禍の影響で売上高を大幅に低下させているが、引き続き代表権を福田氏が持つことによって、22年2月期の回復に向けて陣頭指揮を執っているのだ。
実は、ユニクロやGUを展開するファーストリテイリング創業者の柳井正氏も出戻り創業者の1人である。02年に社長職を退いたが、05年に復帰した。また65歳になる14年でCEOの座を降りる旨を当時公言していたものの、13年10月の決算発表会で一転、続投宣言した。
ユニクロ創業者の柳井氏も、社長職を退いた後復帰したケースだ(ユニクロWebページより)
当時のユニクロはすでに1兆円の売上を誇る企業であったが、柳井氏としては満足のいく成果を出せていなかったことが続投宣言で語られている。当時の目標は20年までに5兆円の売上高を実現するというもので、いわゆる創業者独特のカリスマ性やパワーがあってこその目標であった(16年に3兆円に下方修正)。足元の売上高は2兆円程度と、増収は続けているが、今の長期目標3兆円までには、1.5倍の増収が必要になってくる。
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