マネフォ、ツクルバと業務提携し不動産領域参入 自宅評価額自動算出

» 2021年07月09日 13時28分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 マネーフォワードは7月9日、中古およびリノベーション住宅の流通プラットフォームを営むツクルバ(東京都目黒区)と提携し、不動産領域に参入すると発表した。居住用不動産を評価し、住み替えを提案、支援するサービスを2022年内に共同開発する。

 第一段階として、所有している住宅の価値を評価し、金融資産だけでなく不動産を含めた資産の見える化を実現する。マネーフォワードが提供する家計簿サービス「マネーフォワード ME」は、複数の銀行や証券会社などの金融機関を登録することで、資産の状況をリアルタイムで把握できる。しかし、不動産については「HOME'Sプライスマップ」とのデータ連携による一部マンションの参考価格の見える化にとどまっていた。

現在のマネーフォワード MEでは、一部マンションを除けば、自宅などの不動産資産についてはユーザーが自分で評価額を調べて入力する形だ

 ユーザーが住宅の資産価値を把握できるようにすることで、ツクルバは住まいの売却相談につなげる。ユーザーがツクルバに売却依頼したり、ツクルバから売却手安を受けられるようにし、運営する流通プラットフォーム「cowcamo」の物件数を増加させる狙いがある。「将来的には、収支管理によって導かれるライフスタイル動向に対して、適切な売却タイミングや買い替え物件のリコメンドの可能性も探求する」とツクルバの村上浩輝CEOはコメントしている。

個人の資産状況や収支状況を活用

 個人の資産状況や収支の状況を把握できることを生かして、マネーフォワード MEを通じた各種サービス連携を、マネーフォワードは矢継ぎ早に打ち出している。20年11月に、新電力シン・エナジー(神戸市)の電気料金プランを使った「マネーフォワードでんき」の提供を開始。21年6月には、資産運用サービスを行うSUSTEN(東京都中央区)と業務資本提携し、ユーザーの資産状況に応じて資産運用を提案する機能の開発を進める。また21年7月には、ネット専業生命保険事業者のライフネット生命の保険を使った「マネーフォワードの生命保険」の提供を始めた。

 家計の収支状況や資産状況は、金融関連のサービスはもちろん、広告などにも活用できる重要なデータだ。三井住友フィナンシャルグループは電通と組んで、三井住友銀行顧客の口座情報などを広告に活用する新会社を設立した(記事参照)。データの側面からも、金融ビジネスの異業種展開が進みそうだ。

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