なぜ「はま寿司」のデータを欲しがった? 「かっぱ寿司」転落の背景は“伝統の否定”長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)

» 2021年07月13日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 回転寿司大手「かっぱ寿司」を経営するカッパ・クリエイトの田邊公己社長が「はま寿司」の運営会社であるはま寿司から、不正競争防止法違反の容疑で刑事告訴された。田邊社長が、はま寿司の内部情報である日次売り上げデータを内密に受け取っていたとして家宅捜査を受けていたことが、7月5日に発覚した。

かっぱ寿司が揺れている

 田邊社長は、はま寿司の親会社であるゼンショーホールディングスの元社員。ゼンショー傘下のはま寿司取締役、ジョーリーパスタやココスジャパンの社長を経て、カッパ・クリエイトに転職して社長に就任している。いわゆる引き抜き、キャリアを生かした転職と目される。

はま寿司に在籍していた田邊公己氏

 7月5日、カッパ・クリエイトからリリースされた文書「当社役員に対する競合他社からの告訴について」によれば、田邊社長は元同僚からはま寿司の日次売り上げデータなどを数回にわたって個人的に送付を受けていたとのこと。田邊社長は事実を認めている。

 売り上げデータを受け取っていたから、直ちに罪に問われるのかは捜査中なので不透明な情勢だ。しかし、はま寿司と親会社ゼンショーグループの社員しか知り得ない情報を、外部の経営者がメールで入手していたとは、産業スパイ行為を疑われても仕方がない。

 かっぱ寿司は2014年に買収されて以来、コロワイドの傘下にある。田邊氏以外のコロワイドグループの社員は関与していないと示すためか、同文書は「当社の代表取締役個人に対して、株式会社はま寿司より不正競争防止法に纏わる告訴がなされ、当該告訴に基づき、本年6月28日、関係当局による捜査が行われました」といった書き出しになっている。

 かっぱ寿司はなぜ、はま寿司のデータを不正に入手したと疑われているのか。カッパ・クリエイトの経営危機が背景にあると、多くの外食関係者は考えている。

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