コラム
» 2021年07月20日 05時00分 公開

多くの企業が取り組む「スキャンで紙をデジタル化」がダサい理由経理業務のあるべき姿と未来を探る(1/3 ページ)

多くの企業が電帳法対応で取り組む「紙書類のスキャン」だが、それを「ダサい」と指摘するのが、中小企業の経理業務に詳しい税理士の杉浦直樹氏だ。簡単にデジタル化できるスキャンが、いったいなぜダサいのか。

[鬼頭勇大,ITmedia]

 新たに改正された電子帳簿保存法(電帳法)の施行を前に、税務書類などの対応を巡り、多くの企業が対応に奔走している。コロナ禍をきっかけに機運が高まるDX(デジタルトランスフォーメーション)と合わせて、バックオフィスを巡る“大転換期”ともいえるタイミングだが、一歩誤れば、小手先の法対応のみでとどまってしまう危険性もあるといえる。

 例えば、今般の電帳法改正では、紙書類をスキャンしてデジタル化する上での要件が緩和された。この点が注目されることも多く、「まずはペーパーレス化」と、紙書類のスキャンから取り組む企業も多いだろう。

 そんな状況を「スキャンはダサい」と一蹴するのが、税理士であり、中小・中堅企業における業務DXの推進にも携わる杉浦直樹氏だ。数多くの企業における経理業務を見てきた杉浦氏だが、経理DXの第一歩と見なされることも多い「スキャンによる紙書類のデータ化」がダサいと指摘する理由は何なのか。経理担当が持つべき意識や、デジタル化が進む中で実現が予測する将来像についても話を聞いた。

杉浦 直樹(すぎうら なおき) 1975年生まれ、浜松市出身。We will accounting associates株式会社 代表取締役。大学卒業後日本オラクルにて会計ERPパッケージの13社同時展開プロジェクト等、多くのプロジェクトに携わる。同社退社後、米国ベンチャー企業を経て市内税理士事務所へ入所。その後、仲間とともに税理士法人We will、We will accounting associates株式会社を設立し、中小中堅企業の業務DXに携わる。オープンイノベーション施設であるThe Garage for startups 主宰。デジタルワークシフトコンソーシアム浜松共同代表。

電帳法は4つの要素に整理できる

 まず、前提として電帳法の構成についてまとめよう。杉浦氏によると、電帳法は次の4つの要素で構成されている。

(1)国税関係帳簿の電磁的記録による保存の要件

(2)国税関係書類の電磁的記録による保存の要件

(3)国税関係書類のスキャナ保存制度の保存要件

(4)電子取引の取引情報にかかる電磁的記録の保存制度の保存要件


 (1)と(2)については、主に自社内で発行した帳簿・請求書に関する部分。(3)については、他社が作成した請求書などの紙書類を、スキャン・デジタル化して保存する場合に関係がある部分で、(4)は、そもそも紙書類がなく、デジタルで完結している取引に関する部分だ。

 現状、電帳法に関する議論は、(3)、つまりスキャンに関する要件を中心に行われていると杉浦氏は指摘する。実際、紙書類のデジタル化は、まずスキャンから始まることも多く、帳票系のソリューションを提供している各社も、今回の改正でスキャナ保存に関する要件が緩和されたことを受け、この点を中心にアピールしていることが多い。

 では、スキャンという簡単な作業で紙書類を手軽にデジタル化できるにもかかわらず、杉浦氏が「ダサい」と一蹴したのはなぜなのか。

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