青色申告をするなら関係ある
18年の税制改正により、20年分の確定申告から青色申告特別控除額が65→55万円に引き下げられた。しかし、e-Taxによる申告(電子申告)または電帳法に対応することで、引き続き最大65万円までの控除を受けられるため、「青色申告で65万円の特別控除を受けたい」かつ「e-Taxを利用しない」のであれば、フリーランスであっても電帳法に対応しなければならない。ただし、この場合「優良電子帳簿システム」への対応が必須になる。詳しくは「問12」を参照。
“現行の電帳法”に対応したシステムのこと
電帳法4条1項(詳細は問4)に該当し、「電子帳簿保存」が適用される帳簿は、改正電帳法で優遇措置が導入される。
「『優良電子帳簿システム』は、主に改正前の電帳法のことだと考えて問題ありません。改正電帳法では、あらゆる要件が非常に緩くなりました。しかし、改正後であっても、現行法――つまり要件が厳しい今の電帳法に対応するなら、優遇措置を取りますよ、という制度です」(持木氏)。
優良電子帳簿に対応していると、優遇措置として(1)「青色申告特別控除の控除額65万円の適用を受けられる」、(2)「申告漏れに課される過少申告加算税が10→5%に減免される」といった特典がある。主に(1)はフリーランス、(2)は法人に大きく関係する措置だが、どちらも事前に税務署への届け出が必須。せっかく改正電帳法で「承認制度の廃止」が導入されたのに、優遇措置を受けるためには届け出が必要とは悩ましいが、リスクヘッジを図るなら優良電子帳簿への対応も検討するべきだろう。
必要
すでに現行の電帳法を導入している場合は、現時点で「優良電子帳簿システム」(詳細は問12参照)に対応済みということになる。つまり、税務署の承認を得ている状態ということになるが、それでも過少申告加算税10→5%減免の適用を受けるためには、「改正電帳法において、優良電子帳簿システムに対応しています。減免適用してください」という届出書の提出は必要になる。
実は範囲は自分で決められる
「現行法では、授受した請求書は電子保存して、契約書や納品書は『紙』で保存します――など、電帳法に対応する範囲は自分で決めて申請できるようになっています。改正電帳法では承認制度が廃止されますが、今後もこのルールは引き継がれます」(持木氏)
全帳簿書類システムが電帳法の要件を満たすのは難しい……といった場合は、一部の書類だけ電子保存する、だから「授受した請求書だけ、支払申請のワークフローシステムで電子保存する」ということでも問題ない。ただし、改正後に電子取引で授受した国税関係書類は、電子保存が義務になるので注意が必要。
単純に手間と時間とお金はかかる
もちろん、 何もせず電帳法に対応できるわけではない。要件を満たすためのシステム導入費のほか、業務フローの見直しに手間と時間もかかる。
「自分で最初からPCなどを使い作成した帳簿・書類、そして電子取引書類は、もともと電子データです。要件を満たすシステム導入は必要ですが、言ってしまえば『紙に出力しないだけ』ともいえます。しかし、スキャナ保存は“スキャンする”という手間が発生します。そのため、普段の業務フローの中にどのようにしてスキャン工程を取り組むか――手順の再構築が重要です」(持木氏)
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