そして20年初頭。サイバーセキュリティ企業(米国)の関係者から、中国人ハッカーらのやりとりが送られてきた。ハッカーらが集う暗号化メッセージアプリの地下コミュニティーで見つけたそうだが、そこにはハッカー同士のこんなやり取りが記されていた。
「2020年東京オリンピックを阻止して開催できないようにしてやろう」
「われわれは間もなく、難しい目標ではあるが、現地での計画のためにより多くの時間を割く。偵察戦術を変更する」
「誰が目標を決めているのか? われわれの目標を確保せよ」
「私は間もなく先に深せんに向かう。命令の内容が変更になれば、そこで指示を受けるつもりだ」
このメッセージを「どう思う?」と聞かれたが、「2年前からキャンペーンが確認されているから驚きはない」と伝えた。
とにかく、こうした攻撃は、日本の評判を貶(おとし)めて、世界の評価を下げ、日本企業へも風評被害を与えることを目的の一つとしている。
例えば日本では、サイバー攻撃が起きても、ほとんどの企業は黙っている。しかし、しばらくしてメディアにすっぱ抜かれ、そうなってから「情報が盗まれていた」などと後付けで発表し、謝罪する。しかし、機密情報や先端技術などの知的財産を持つ海外企業が、そんな日本企業を信用できるだろうか。できない。
こうした対応が続けば、多くの企業が相手にされなくなり、ひいては、日本経済にも影響を及ぼすだろう。そこを中国などのサイバー部隊は狙っているのである。
そして幸か不幸か、東京オリンピックは1年延長されることになった。ただし、だからといってサイバー攻撃がなくなるわけではない。21年になって、やはりまた、サイバー攻撃のキャンペーンが確認されているのだ。
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