クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
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» 2021年07月27日 07時00分 公開

EUが2035年に全面禁止検討 エンジンは本当に消滅するのか高根英幸 「クルマのミライ」(3/4 ページ)

[高根英幸,ITmedia]

純水素燃料電池の普及と水素エンジンの未来

 水素といえば、空気中の酸素と反応させて電気を作る燃料電池も、脱炭素社会には欠かせないキーデバイスだ。

 35年頃、再生可能エネルギーで純水素が生成できるようになれば、クルマ以外でも燃料電池を使う領域が増えることになる。FCVはEVに含まれるものであり、メルセデス・ベンツも現在は乗用車分野では撤退したものの、商用車での普及を経て、再び乗用車にもFCVを投入する日が来ることだろう。

 トヨタが開発を公開した水素エンジンも、もう1つの水素利用の方法として選択肢にはある。しかしこれはエンジン車の販売禁止から水素エンジンが除外されて初めて、使える手段だ。

 水素エンジンには、燃料電池と違って純度の低い水素でも利用できるというメリットはあるが、製鉄工場の副生水素など低純度の水素が発生している場所で使う発電用水素エンジンはともかく、低純度の水素を独立したルートで供給するのは意味がないから、これは実際にはメリットには成り得ない。

 熱エネルギーの小さい水素を熱効率の低いエンジンで消費することは、水素の無駄遣いではないか、という考え方もある。合成燃料のeフューエルより直接的で低コストではあるが、エネルギーロスは確かに小さくない。

 そういった意味ではエンジンを使うのであれば、微細藻類を培養して得られた油から精製したバイオ燃料の方が現実的ではないだろうか。

燃料電池の変換効率は、現在60%弱といわれている。さらにインバーターの変換効率とモーターの駆動損失を考えると50%弱になるから、水素エンジンの熱効率が50%近く(発電用ではすでに成功済みだ)にまで高められれば、実用化の可能性も見えてくる(写真は新型MIRAI、メーカー提供)

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