気候変動が顕著になってきた昨今、クルマは厳しさを強めた排ガス規制に対応(開発エンジニアに言わせると、今や「厳しい」なんて程度のレベルではないのだが)するために電動化が急がれている。
特に信号が多い日本の都市部においては、ゴーストップを繰り返すのはエンジン負荷が大きく、燃費を悪化させる。回生充電が使えるハイブリッド(といっても運動エネルギーすべて電気に換え、バッテリーに全量充電できているわけではないが)ならまだ影響は少ないが、純エンジン車であれば致命的なほど燃費を低下させる。
そんな発進加速の負荷は減らせないが、停止中の無駄は減らせるとばかりに導入された機構がアイドリングストップだった。
これは、車種や条件によって異なるものの、15秒以上の停車時間がある場合はエンジンを停止させて発進時に再始動した方が燃料の消費量は抑えられることを狙った仕組みだ。停車時は自動でエンジンが停止し、ブレーキペダルへの踏力が弱まったことを検知すると発進に備えてエンジンを始動させるというもので、Dレンジのままエンジン始動を可能にさせるなど、変速機との協調制御も利用することで実現している。
その頃自動車関連団体などが行っていたアイドリングストップ運動というムーブメントも後押ししたのだと思う。それは大きな交差点の信号待ちなど比較的停車時間が長い場合、エンジンを停止させましょう、というものだった。
さらに20年前からは駐車中のアイドリングを禁止する条例が首都圏などで発令された(海外と比べると遅過ぎるくらいだ)こともあり、アイドリングストップ機能を採用した乗用車が増えていった。
交差点などで完全停車してからエンジンを停止するようにしていたものから、車速の下降とブレーキペダルの操作などから判断して停車前からエンジンを停止するように制御を改善させ、何としても15秒以上のアイドリングストップを確保するように進化させているメーカーもある。
しかし近年、アイドリングストップ機構を備えないクルマが登場し、それが増えているのである。燃費向上策のキーデバイスに何が起こっているのか。
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