トヨタのヤリス・ハイブリッドの環境性能の高さは、素晴らしいものだ。現時点でLCA(ライフサイクルアセスメント=原料の生産時から廃車後のリサイクルまで含めた環境負荷)で比べてもEVよりはるかにCO2排出量が少なく、WLTCモードでの燃費で換算すると1キロメートルあたりの排出量は65グラムと、EUの厳しいCAFE燃費(自動車メーカーの全生産車平均燃費)排出基準(95グラム)を大きく下回る。
そもそもバッテリーEVが乗用車のメインストリームになり得るのは、相当に先の話だ。リチウムイオンバッテリーに代わる高性能次世代電池が実用化されなければ、リチウムの枯渇問題や採掘による環境破壊を解決することなどできないからである。したがって当分はヤリスハイブリッドなどのハイブリッド車やプラグインハイブリッド、トヨタMIRAIに代表されるFCV(燃料電池車)が、EVと共に乗用車市場を支えることになる。
ホンダは、2040年までにエンジン車を廃止すると三部敏宏新社長が宣言している。次世代電池の調達や日本国内における電源構成の問題など、10年以上も先の産業構造を予測することは難しいが、計画を立ててその目標に向かって進めていくことは大事だ。
それでも、さまざまな要素をすべて広げて並べて俯瞰(ふかん)した時、日本の自動車産業にとってエンジンがキーデバイスであり続けることは非常に重要なことなのだ。それをこれから解説していこう。
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