加熱するRTD市場でどう対抗? オリオンビールのチューハイが関東に本格進出 こだわるのは“沖縄らしさ”県内での認知度は70%(2/3 ページ)

» 2021年07月28日 10時25分 公開
[上間貴大ITmedia]

沖縄の特殊性を生かし関東で勝負

 そもそも、WATTAがターゲットと位置付けていたのは“観光客を含めた”沖縄県民だ。県産の素材や地元企業とのコラボを行い、県民に寄り添った商品として訴求しつつ、沖縄の魅力を観光客へアピールする狙いがあった。しかし、発売から1年を待たずして襲ったのが新型コロナウイルスの感染拡大だ。

 沖縄を訪れる観光客は激減。沖縄県内での認知拡大には成功したものの、本来取り込めるはずだった県外ユーザーへの接触機会が失われていた。

 同社マーケティング本部の原國秀年氏は「沖縄の特殊性を生かしてマーケットが大きい関東で勝負をする」と意気込みを語る。「進出は無謀なんじゃないかという話もあるが、『沖縄フェア』などが各地で行われていて、引っ掛かりを作りやすい。またシークァーサー味の商品は各社が出しているが“オリオンビールが展開する”WATTAのシークワーサーといえば、背景に沖縄が見えて分かりやすいといった声もいただいている」

 関東進出で期待を込めるフレーバーが、6月から販売している「natura WATTA(ナチュラ ワッタ)レモンサワー」だ。

 瀬戸内産とシチリア産のレモン果汁のほか、一般的なレモンより酸味が少なく糖度が高い沖縄県産のマイヤーレモンエキスを使用した。防腐剤やワックスを使用していないレモンを厳選し、香料や人工甘味料、人工着色料も無添加とした点が特徴だ。

オリオンビール natura WATTA(ナチュラ ワッタ)レモンサワー

 サントリースピリッツが実施した調査によると、20年のRTD市場(缶チューハイやハイボール缶など)は対前年で112%と過去最大の規模となった。21年も対前年112%とさらなる拡大が見込まれている。

 その市場をけん引するのが、レモンフレーバーの商品だ。20年のレモンRTD市場は対前年で133%と、2年連続で対前年130%を超える成長を記録。各社がレモンサワーの新商品を投入し、市場はさらに活性化している。

 マーケティング本部の福井マリア氏は、同商品について「自信作だ」と胸を張る。「レモンサワーは、全国展開していく上で外せないフレーバーだと感じていた。県産の素材を使って沖縄県民にもその魅力を知ってもらいつつ、全国規模で求められているものを追求した商品だ」

オリオンビール オリオンビールマーケティング本部 福井マリア氏

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