20年11月に、ちょっとした出来事があった。それまでの天然水は「南アルプス」「奥大山」「阿蘇」の商品があったが、4番目の水源地「北アルプス」を展開するにあたって、ブランドを「サントリー天然水」に統一したのだ。ただ、ラベルには「南アルプス」などと書かれていて、それぞれ山のデザインも違う。
「北アルプスを発売したことは、どこかで聞いたことがあるなあ。確か長野県に大きな工場を造ったはず。で、新工場のことを紹介してくれるの?」と想像されたかもしれないが、そうではない。ブランド統一に合わせて、JANコードも統一したのだ。筆者が注目しているのは、コレである。
「……はあ? なにそれ? 要はバーコードのことでしょ。それのどこがニュースなの?」と思われて、本コラムを離脱しようとしている読者もいるかもしれないが、統一した背景などをご紹介するので、もうしばらくお付き合いいただきたい。
JANコードは見たことはあっても、どういったことに使われているのかご存じない人もいるかもしれないので、簡単に説明しよう。スーパーやコンビニなどで商品を購入するとき、店員さんがレジに付いているバーコードリーダーでJANコードを読み取っているが、このとき売り上げを管理しているだけではなく、在庫も管理しているのだ。そのデータを見た、店舗の担当者は「ミネラルウオーターが3本しかないのか。じゃあ、20本追加するか」といった感じで、商品の仕入れ管理も行っている。
もし、商品AとBがあって、そのJANコードが同じであれば、どういった事態が起きるのか。仕入れをするとき、担当者は商品のJANコードを使って発注するので、同じコードであれば、商品Aを手にしたいのに商品Bが届くかもしれないのだ。もちろん、その逆もあり得るわけである。というわけで、同じコードにすると大混乱が起きてしまうので、1つの商品に対して、JANコードは1つ。これは大原則である。
にもかかわらず、なぜ天然水はJANコードを統一したのだろうか?
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