累計販売数15万セット 捨てる野菜から生まれた「おやさいクレヨン」が売れ続けるワケハウス食品や富国生命ともコラボ(3/3 ページ)

» 2021年08月06日 12時10分 公開
[熊谷紗希ITmedia]
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1500人のバイヤーが押し寄せた「東京インターナショナル・ギフト・ショー」

 14年3月の本格販売を前に、2月に東京のビッグサイトで開催された「東京インターナショナル・ギフト・ショー」への出展が決まった。数千社が出展し、国内外からも多くのバイヤーが訪れ、来場者数は毎回20万人を超える日本の生活雑貨国際見本市だ。その中でも「アクティブクリエイターズ」という若手クリエイターが集まる注目ブースでのお披露目だった。

 「ブースには1日120〜130人、合計500人ほどの来場を予想していました。ふたを開けてみると、想像以上に多くのバイヤーとメディアが興味をもってくださり、用意していたパンフレットやサンプル商品、名刺は初日でなくなってしまいました。3日間合計で1500人のバイヤーが当社のブースに来場し、最初に生産した2000箱は1〜2週間で在庫がなくなってしまいました。本当に驚きました」(木村社長)

 それだけではない。ギフトショー出展を通して、おやさいクレヨンの考えに共感した企業からコラボレーションの相談が入るようになった。「バーモントカレー」で有名なハウス食品グループとは、スパイスを原料にしたクレヨン「彩るスパイス時間CRAYONS」を、クラウドファンディングを通じて販売。目標金額20万円に対して400万円以上の資金を集めた。

 21年には、富国生命保険の設立100周年に向けた「100周年プロジェクト」の一環として「THE MUTUAL Art for children」おやさいクレヨンを製作。全国の保育園や自治体に配布された。その他、今秋には大手スーパーマーケットとのコラボも予定しているという。

彩るスパイス時間CRAYONS(左)と「THE MUTUAL Art for children」おやさいクレヨン(画像提供:mizuiro)

 人気は日本だけにとどまらない。ギフトショーに海外バイヤーが来場していたこともあり、15年からは台湾や香港、米国、ドイツにも出荷している。シンガポールの著名なアートディレクターとのコラボ商品も限定販売した。21年9月からは米国で代理店契約を結び、より販売を強化していくという。

シンガポールの著名なアートディレクターとのコラボ商品(画像提供:mizuiro)

 本格販売から四季に合わせてクレヨンの色を変えたシリーズも販売した。現在は通年で確保しやすい野菜や果物と配色のバランスを考えた「スタンダードセット」のみを販売している。キャベツ、カシス、とうもろこしなど合計10色で価格は2200円。

 木村社長によると、ターゲットとしていた、こだわりを持った商品を購入したいと考える子育て層からの支持は国内外問わず獲得できているという。また、年齢に関係なく進級祝いなどの贈り物として購入する人が多いことも分かった。

子育て層からの支持を獲得している(画像提供:mizuiro)

 「子どもと一緒に楽しめるプロダクトが作りたい」。その思いから生まれたおやさいクレヨンが多くの子どものもとに届いているだろう。おやさいクレヨンが、世界が抱える食料廃棄問題や環境問題を親子で話すきっかけになるかもしれない。

 木村社長は今後について「現在は、クレヨン市場のシェアの数%しか獲得できていません。これからも実直にクレヨンの品質を保ちながら、理念として掲げている『親子の時間を彩る環境に配慮した商品を作る』という取り組みをコツコツと続けていきたいです」と力強く話した。

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