トヨタTHSのハイブリッド車は、走行中を含めて小まめにエンジンの始動停止を繰り返す。エンジンが燃焼している時間をなるべく減らすことで燃費を向上させるためだ。エンジンの負荷が小さい時には、発電機が負荷を増やすことでエンジンの燃費を高めながらバッテリーに電力を蓄え、低速走行時などはバッテリーの電力だけで走行することを繰り返すのである。
さらに減速時には回生ブレーキで電力として回収しバッテリーに蓄えることで、純エンジン車では摩擦熱として捨てていた運動エネルギーを再利用することにより燃費を高めている。
高速巡航時は車種によってはコースティング(滑走状態)としてモーターで車速を維持するだけの駆動力を提供し、エンジンを停止させるが、それ以外は走行中に何度もエンジンの始動と停止を繰り返しているのである。
そんなことは何気なく運転していると全く気付かないかもしれない。違和感がない=気付かないということなのだが、トヨタTHSの場合、停車時にエンジンを停止しているアイドリングストップだけでなく、負荷の大きい発進時はモーターだけで駆動し、加速しながらエンジンを始動して本格的な加速へと移行する。それでいながらエンジン始動や、加速途中からエンジンが駆動するようになる時にも衝撃などは一切感じない。
トヨタのTHSは、走行用モーターのMG2が発進時の駆動力と減速時の回生充電、走行中のアシストを行う。遊星ギア機構に組み込まれたMG1は、エンジンによる発電とエンジン始動、そしてエンジンの回転数を変換して伝える変速機として機能する純エンジン車であれば、エンジン始動時にはキュルルルとセルモーターが回る音の後にブルンッとエンジンが目覚める燃焼音と共に身震いのような振動が伝わってくるものだが、ハイブリッド車にはそれがない。走行中にエンジンが掛かっても、スムーズに動力がつながり、モーターからエンジンへのバトンタッチがシームレスで行われる。
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