新たな「島」が誕生すると、基本的に3つの海域が島の周りに設定されることになる。それは、領海・接続水域・排他的経済水域だ。
領海は干潮の際に露出する海岸線(低潮線)から12海里、約22.2キロメートルの範囲で定義される領域である。ここで他国の船が漁などを行った場合は、主権国として乗組員を拿捕(だほ)ないしは逮捕できる。
接続水域とは、領海の外側に設定される水域のことで、領海の外側から12海里、つまり低潮線からは24海里、約44.4キロメートルの範囲で定義される。近年、中国からの漁船が尖閣諸島付近で操業する事象があるが、このとき、漁船が領海に入ってこないように予防的措置として接続水域上で海上保安庁が警告を行うケースが増えている。
そして、低潮線から200海里、約370.4キロメートルまでの領域が「排他的経済水域」として定義される海域だ。この海域では他国の航行や飛行を制限することはない。しかし、そこに属する天然資源を採取したり管理したりするという主権的な権利は、その島の属する国が持つことになる。
新たに島が生まれた「福徳岡ノ場」と、太平洋に位置する日本の島々(海上保安庁資料より)
日本は島国で狭小な国土といわれることもある。確かに日本の国土面積は約38万平方キロと世界で62位であり、1億人以上の国としては狭小な立ち位置に属する。しかし、領海および排他的経済水域の広さは世界で第6位、約447万平方キロと国土の10倍以上にものぼるのだ。447万平方キロは、インド全体の国土面積よりも、1.35倍広い規模である。
日本の排他的経済水域が広いのは、日本における太平洋側の島々が陸に囲まれていない「外海」であり、それぞれの島が点在していることが要因である。日本の国土面積の98%が北海道や本州、四国、九州、沖縄本島といった「本土」で占められているが、残りの2%を占める6847の「離島」のうち、太平洋の辺境にある小さな島々が多くの排他的経済水域を確保するにあたり、大きく貢献しているのだ。
今回発見された新島は、南硫黄島の北北東約5キロに位置していることから、新島における排他的経済水域の大部分は南硫黄島の排他的経済水域と重複してしまう。そのため、日本の持つ排他的経済水域が劇的に拡大するまでは至らないが、それでもこのエリアの資源確保という観点で重要な役割を持つ地域であるため、少しでも領土が広がるのに越したことはないだろう。
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