このような事情だから、豚肉、牛肉、鶏肉といった家畜の飼料の国際価格は、過去最高の水準となっている。そして、飼料の原料となる、大豆、トウモロコシ、小麦の価格が高騰する要因の1つになっている。特にトウモロコシは、配合飼料の半分ほどを占めているので、影響を受けないわけがない。
また、小麦、大豆、トウモロコシは、今夏の米国中西部から西部の大干ばつの影響も出てきている。50年に1度といわれた14年の干ばつをも上回るとの説も出ている。特に、秋に収穫する小麦の収穫が厳しい見通しだ。
JA全農では、7〜9月期の配合飼料供給価格を、4〜6月期に対し、全国全畜種総平均で1トンあたり4700円値上げしている。
従って、中国の豚肉需要が急速に高まると、飼料と食用油が逼迫(ひっぱく)する。飼料が上がると、豚肉、牛肉、鶏肉の卸値が輸入・国産を問わず上がる。豚肉、牛肉、鶏肉の小売価格も上がる。乳製品や卵にも波及する可能性もある。値上げは連鎖するのだ。
食用油の主たる原料は、大豆、菜種、パームである。大豆が逼迫すると、菜種とパームも連鎖的に需要が増えて供給がタイトになるということで、広範囲に物価が上がる。
鶏肉と卵に関しては、別の要因がある。国内の鳥インフルエンザの影響が大きい。昨年11月からの大流行で、今年5月までに約987万羽が殺処分された。高病原性鳥インフルエンザに罹患した鳥類の致死率は50%以上に上り、養鶏場に大きな打撃を与える。今回、国内では過去最大の鳥インフルエンザの流行が起きた。これまで最大だった10〜11年の流行では約183万羽を殺処分していたので、5倍以上の規模であった。
そのため、物価の優等生と呼ばれる卵の価格も1.5〜2倍近くに上がった。現状は卸値で2割ほど下がり、鳥インフルエンザも収束して、落ち着きを取り戻してきている。
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